忘年会シーズンに増える体の不調|お酒・食べ過ぎで起こりやすい症状と受診の目安を医師が解説
12月は忘年会シーズンです。お酒の飲み過ぎや食べ過ぎ、生活リズムの乱れにより、体調を崩す方が急増します。当クリニックにも、「胃の調子が悪い」「二日酔いがひどい」「持病が悪化した」といったご相談が増えています。
本記事では、忘年会シーズンに起こりやすい体の不調の原因と具体的な症状、そして「放っておいても大丈夫な症状」と「すぐに内科を受診すべき症状」の目安について、医師の視点から詳しく解説します。
忘年会シーズンに体調を崩す人が増える理由
体調不良が増える主な原因は、以下の3点です。
- 過度な負担:多量の飲酒や高カロリー・高脂質の食事は、肝臓や胃腸に大きな負担をかけます。アルコールは胃酸分泌を促し、胃粘膜を荒らします。
- 疲労と免疫力低下:夜遅くまでの会食による睡眠不足や疲労の蓄積は、免疫力の低下を招き、風邪などの感染症にかかりやすくなります。
- 寒さの影響:冬の寒さは血管を収縮させ、血圧を上昇させやすくなります。持病を持つ方には特にリスクが高まります。
こんな症状、ありませんか?
よくある「忘年会後の体調不良」
多くの方が経験する一時的な体調不良です。セルフケアで改善することが多いですが、症状が重い場合は注意が必要です。
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症状 |
主な原因 |
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二日酔い(頭痛、吐き気、倦怠感) |
アルコール分解物(アセトアルデヒド)、脱水、低血糖など |
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胃もたれ・胸やけ |
食べ過ぎ・飲み過ぎによる胃酸の過剰分泌、胃の運動機能低下 |
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下痢・便秘 |
アルコールによる腸の刺激、食事内容の変化 |
放っていい症状/受診したほうがいい症状の目安
様子を見てもよいケース
- 軽度の二日酔い:水分補給と安静で翌日には改善する程度の頭痛や吐き気。
- 一時的な胃もたれ:暴飲暴食の翌日のみで、市販薬で症状が和らぐもの。
内科受診をおすすめするケース
以下の症状が見られる場合は、胃腸からの出血や肝機能の急激な悪化など、重篤な病気が隠れている可能性があるため、速やかに内科を受診してください。
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症状 |
疑われる病態(例) |
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激しい嘔吐・吐血 |
胃潰瘍、マロリー・ワイス症候群(食道粘膜の裂傷) |
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黒色便(タール便) |
胃や十二指腸など上部消化管からの出血 |
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黄疸(皮膚や白目が黄色くなる) |
急性アルコール性肝炎、肝機能の重度な低下 |
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強い腹痛・背中の痛み |
急性膵炎、胆石症など |
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意識障害 |
急性アルコール中毒、肝性脳症など |
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持病の急激な悪化 |
普段より血圧が異常に高い、血糖値がコントロールできないなど |
忘年会で悪化しやすい内科の病気
持病がある方は、暴飲暴食により病状が急激に悪化するリスクが高まります。
高血圧
飲酒、塩分の多い食事、睡眠不足は血圧を上昇させます。冬の寒さも相まって、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まります。
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糖尿病・血糖値の異常
アルコールや高カロリーな食事は、血糖値のコントロールを非常に難しくします。糖尿病の方は、飲酒量や食事内容について、必ず主治医の指導に従ってください。
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肝機能の異常
多量のアルコール摂取は、アルコール性脂肪肝からアルコール性肝炎へと進行する可能性があります。初期は自覚症状に乏しいため、倦怠感を「二日酔い」と見過ごさないことが重要です。
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胃腸トラブル(胃炎・逆流性食道炎 など)
アルコールは胃酸の分泌を促し、胃粘膜を刺激します。食べ過ぎや食後すぐに横になる行為は、逆流性食道炎(胸やけ、のどの違和感)の症状を悪化させます。
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年末年始を乗り切るためのセルフケア
体調を崩さずに年末年始を楽しく過ごすためのセルフケアのポイントです。
- 飲酒のルール:休肝日を週に2日以上設ける。お酒と同量以上の水(チェイサー)を飲み、脱水とアルコール濃度の急激な上昇を防ぐ。
- 食事の工夫:野菜やタンパク質を先に食べ、炭水化物は控えめにする。脂っこいものや塩分の多いものは意識的に避ける。
- 十分な休養:睡眠時間を確保し、疲労を翌日に持ち越さない。帰宅後は体を冷やさないように温かくして休む。
年内に受診したほうがいい人・年明けでも大丈夫な人
年末は医療機関が休診となるため、受診のタイミングを見極めましょう。
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受診のタイミング |
対象となる人 |
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年内に受診すべき人 |
持病(高血圧、糖尿病、肝機能障害など)があり、忘年会シーズンに入ってから体調や検査値が明らかに悪化している人。上記「内科受診をおすすめするケース」に該当する重篤な症状がある人。 |
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年明けでも大丈夫な人 |
一時的な二日酔いや胃もたれで、セルフケアで症状が改善傾向にある人。 |
特に、健康診断で肝機能の異常や高血糖を指摘されている方は、年内のうちに一度、内科でご相談いただくことを強くおすすめします。
気になる症状があれば、早めに内科へご相談ください
「これくらいで病院に行くのは大げさかな」とためらわず、少しでも気になる症状や、持病の悪化の兆候を感じた場合は、お早めに当クリニックの内科へご相談ください。
皆様が健やかに新年を迎えられるよう、医師・スタッフ一同、サポートさせていただきます。
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