気管支喘息(ぜんそく)
症状
気管支喘息(ぜんそく)は、空気の通り道である「気管支」に炎症(えんしょう)が起こって狭くなり、息がしにくくなる病気です。主に夜や朝方に、せきが続いたり、ヒューヒュー・ゼーゼーといった音がしたり、息苦しさを感じたりするのが特徴です。
喘息は、気管支がとても敏感(びんかん)な状態になっていて、ホコリ、花粉、タバコの煙、冷たい空気、運動などのちょっとした刺激でも反応して、強く縮んでしまいます。そのため、症状が急に悪くなることがあります。これを「発作(ほっさ)」と呼びます。
発作が軽いときは少し咳が出るだけですが、ひどくなると、息ができないほど苦しくなり、救急車が必要になることもあります。特に夜間や早朝に発作が起こることが多く、睡眠がとれずに学校や仕事に支障が出ることもあります。
子どもだけでなく、大人になってから喘息になる人もいます。また、風邪などをきっかけに悪化することもあります。
咳が長く続く、季節の変わり目に体調を崩しやすい、夜中にせき込む、運動すると苦しくなる、というような症状がある場合は、一度、喘息の可能性を考えて検査してみるとよいでしょう。
検査、診断
気管支喘息かどうかを調べるためには、まず問診(もんしん)といって、症状の内容やいつから始まったか、何がきっかけで悪化するか、などを詳しくお聞きします。家族に喘息の人がいるかどうかも大切な情報になります。
そのうえで、いくつかの呼吸の検査を行います。
代表的な検査には以下のようなものがあります:
- 呼吸機能検査(スパイロメトリー):
息を吸ったり吐いたりして、肺の大きさや息の出し方を調べます。喘息の人は、息を強く吐くときに空気がうまく出ていかないことが多いです。 - 気道可逆性試験:
気管支拡張薬というお薬を吸ったあとに再度スパイロメトリーを行い、呼吸がどれくらいよくなるかを見ます。これにより、喘息かどうかがはっきりすることがあります。 - 呼気中一酸化窒素(FeNO)検査:
吐いた息の中に含まれる「一酸化窒素(いっさんかちっそ)」の量を測ります。喘息では気道に炎症があるため、この値が高くなることが多いです。 - 血液検査やアレルギー検査:
アレルギー体質があるかどうかを調べることで、喘息の原因や悪化のきっかけを探ることができます。
これらの検査を組み合わせて診断を行い、喘息の重さやタイプに応じて治療方針を決めていきます。
治療
喘息の治療の目的は、発作を予防して、普段どおりの生活ができるようにすることです。そのために、大きく分けて2つのタイプのお薬を使います。
長期管理薬(毎日使うお薬)
これは症状が出ていないときでも、毎日使うことで、気管支の炎症をおさえて喘息を安定させる薬です。代表的なのは「吸入ステロイド薬(ICS)」で、気管支に直接薬を届けて炎症をしずめます。副作用も少なく、安全性の高い薬です。
ほかにも、気管支を広げる薬や、アレルギー反応を抑える薬を組み合わせて使うことがあります。
発作時のお薬(症状が出たときに使う薬)
急に息苦しくなったときに使う「気管支拡張薬(SABAなど)」があります。これは発作をすぐに楽にするための薬で、携帯しておくと安心です。ただし、これだけを使い続けるのは危険です。根本的な治療にはならないので、長期管理薬とあわせて使う必要があります。
また、喘息を悪化させる原因を避けることも大切です。たとえば:
- タバコの煙を避ける(自分も周りの人も)
- ペットの毛やハウスダスト(ほこり)を減らす
- 花粉の多い時期はマスクを使う
- 風邪をひかないように手洗い・うがいをする
これらを続けることで、喘息の発作を減らし、症状のない日々を保つことができます。
ご相談ください
治療は長期にわたることが多いですが、しっかりコントロールすれば、運動も旅行も、普通の生活が送れます。医師と相談しながら、自分に合った治療を続けていくことが大切です。