年末年始に多い体調不良まとめ|発熱・咳・喉の痛み・腹痛の受診目安を医師が解説
年末年始は、多くの人にとって待ちに待った長期休暇です。しかし、この時期は生活リズムの変化や人との接触機会の増加などから、体調を崩しやすい時期でもあります。特に、医療機関の休診が増えるため、「この症状で病院に行くべきか」「自宅で様子を見るべきか」と判断に迷う方も少なくありません。
当記事では、内科医の視点から、年末年始に増加する体調不良の原因と、特に注意すべき症状、そして発熱、咳、喉の痛み、腹痛といった主要な症状ごとの受診の目安を詳しく解説します。ご自身やご家族の健康を守るため、ぜひ最後までお読みください。
年末年始に体調不良が増える理由
年末年始に体調不良が増える背景には、この時期特有の生活環境の変化が深く関わっています。
生活リズムの乱れ
長期休暇に入ると、夜更かしや朝寝坊が増え、睡眠時間が不規則になりがちです。これにより、自律神経のバランスが崩れ、免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなります。
飲酒・食べ過ぎ
忘年会や新年会、家族での集まりなど、飲酒や豪華な食事の機会が増えます。過度な飲酒や食べ過ぎは、胃腸に大きな負担をかけ、消化器系の不調(腹痛、下痢、胃もたれなど)を引き起こします。
人混みによる感染リスク
帰省や旅行、初詣などで人混みに出かける機会が増加します。これにより、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症、ノロウイルスなどの感染症に曝露するリスクが格段に高まります。
冷え・乾燥・睡眠不足
冬の寒さや暖房による室内の乾燥は、喉や鼻の粘膜の防御機能を低下させます。これに睡眠不足が加わることで、体調不良や風邪の症状が顕在化しやすくなります。
この時期に多い症状と原因・受診の目安
具体的な症状ごとに、考えられる原因と、医療機関を受診すべきタイミングについて解説します。
発熱がある場合(インフルエンザ・コロナなど)
発熱は、体がウイルスや細菌と戦っているサインです。年末年始は特に、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の流行期と重なります。
- 高熱や強い倦怠感: 38.5℃以上の高熱が続き、全身の倦怠感が強い場合は、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の可能性を考慮し、早めの検査と診断が必要です。
- 周囲で流行している感染症: 職場や学校、家族内で特定の感染症が流行している場合は、同じ病気にかかっている可能性が高いです。
- 何日続いたら受診すべきか: 解熱剤を使用しても3日以上高熱が続く場合や、熱が下がってもすぐに再上昇する場合は、合併症や他の病気の可能性も考えられるため、受診を検討してください
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咳が続く・悪化する場合
咳は、気道に入った異物を排出するための防御反応ですが、長引くと体力を消耗します。
- 風邪後の咳: ウイルス感染後、炎症が長引き、咳だけが数週間残ることがあります(感染後咳嗽)。これは自然に治ることが多いですが、症状が強い場合は咳止めなどで対応します。
- マイコプラズマ肺炎: 比較的軽い症状から始まり、しつこい咳が続くのが特徴です。特に若年層で多く見られます。
- 副鼻腔炎や喘息の悪化: 寒さや乾燥、体調不良をきっかけに、持病である喘息や副鼻腔炎(蓄膿症)が悪化し、咳がひどくなることがあります。
- 夜間・運動時に悪化する咳の注意点: 夜間や早朝、あるいは運動時に咳がひどくなる場合は、咳喘息、喘息の可能性があり、適切な治療が必要です。
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喉の痛み・違和感がある場合
喉の痛みは、乾燥や炎症、感染など様々な原因で起こります。
- 飲酒や乾燥による刺激: アルコールの刺激や、暖房による空気の乾燥は、喉の粘膜を傷つけ、痛みを引き起こします。
- 感染症の初期症状: 風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などの初期症状として、喉の痛みが出ることが多いです。
- 溶連菌感染症の可能性: 特に小児に多いですが、成人でも見られます。高熱と強い喉の痛みが特徴で、咳はほとんど出ません。適切な抗菌薬治療が必要なため、疑わしい場合は受診が必要です。
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腹痛・下痢・嘔吐がある場合
年末年始は、暴飲暴食や感染性の胃腸炎により、消化器系のトラブルが増加します。
- ノロウイルスなどの胃腸炎: 突然の激しい嘔吐や下痢、腹痛が特徴です。感染力が非常に強く、家族間で広がりやすいです。
- 食あたり・食べ過ぎ: 食べ慣れないものや、傷んだ食品による食中毒、あるいは単なる食べ過ぎ・飲み過ぎによる胃腸の不調です。
- 脱水に注意が必要なケース: 嘔吐や下痢が頻繁で、水分補給が追いつかない場合は、脱水症状に陥る危険性があります。特に、高齢者や乳幼児は脱水になりやすいため、注意が必要です。
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年末年始、様子を見ていい症状・早めに受診すべき症状
医療機関が限られる年末年始だからこそ、ご自身の症状を正しく判断することが重要です。
自宅で様子見でもよいケース
以下の場合は、まずは自宅で安静にし、市販薬などで対応しながら様子を見ても問題ありません。
- 軽い症状で改善傾向がある: 症状が軽度で、徐々に快方に向かっていると感じられる場合。
- 食事や水分が取れている: 嘔吐や下痢がなく、経口補水液やスープなどで水分・栄養補給ができている場合。
早めに受診した方がよいケース
以下の症状が見られる場合は、重症化や合併症のリスクがあるため、休日診療所や救急外来など、対応可能な医療機関への早めの受診を強く推奨します。
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症状 |
受診を推奨する理由 |
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高熱が続く |
解熱剤を使用しても3日以上38.5℃以上の熱が続く場合、肺炎などの合併症や他の重篤な感染症の可能性。 |
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呼吸が苦しい |
息切れ、胸の痛み、呼吸時のゼーゼー音(喘鳴)がある場合、肺炎や喘息発作など、命に関わる可能性があるため。 |
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水分が取れない |
嘔吐や下痢がひどく、半日以上水分が全く取れない場合、急速な脱水症状のリスク。 |
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意識状態がおかしい |
呼びかけへの反応が鈍い、言動がおかしいなど、意識障害の兆候がある場合。 |
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高齢者や持病がある方 |
基礎疾患(糖尿病、心臓病、腎臓病など)がある方や高齢者は、症状が急激に悪化しやすいため、軽症でも早めの相談が必要です。 |
年末年始の体調管理で気をつけたいポイント
体調不良を未然に防ぐための予防策と、もしもの時の心構えをご紹介します。
睡眠を優先する
免疫力を維持する上で、十分な睡眠は最も重要です。夜更かしを避け、普段と大きく変わらない睡眠時間を確保するよう心がけましょう。
飲酒は控えめに
アルコールは免疫力を低下させ、脱水も招きやすくなります。飲酒の機会が多い時期ですが、適量を守り、休肝日を設けることが大切です。
暖房と加湿で乾燥対策
室温は適度に保ちつつ、加湿器などを使って湿度を**40〜60%**に保ちましょう。喉や鼻の粘膜を乾燥から守り、ウイルスの侵入を防ぐ効果があります。
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無理せず早めに相談
体調が優れないと感じたら、無理せず予定をキャンセルし、安静に努めましょう。また、かかりつけ医の年末年始の診療体制を確認し、不安な症状があれば、休診に入る前に相談することも重要です。
当院で対応できる症状・検査について
当院では、年末年始の体調不良に対し、以下の診療・検査体制を整えています。
発熱・感染症の診療
インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症、溶連菌感染症など、各種感染症の検査と診断、治療に対応しています。感染拡大防止のため、発熱やある方は、来院前に必ずお電話でご相談ください。
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咳・喘息・アレルギー診療
長引く咳や喘息の悪化、アレルギー症状についても、専門的な視点から診断し、適切な吸入薬や内服薬の処方を行います。
関連診療科:呼吸器科のページはこちら
必要に応じた検査・治療
血液検査、レントゲン検査など、必要に応じて迅速に実施し、的確な診断と治療方針を決定します。
まとめ|年末年始は「迷ったら早めの相談」を
年末年始の体調不良は、誰にでも起こり得ることです。最も大切なのは、**「我慢しすぎない」**ことです。
- 我慢しすぎない: 医療機関が休みだからと無理に我慢すると、症状が悪化し、結果的に重症化してしまうリスクがあります。
- 悪化前の受診が回復を早める: 症状が軽いうちに適切な診断と治療を受けることで、回復を早めることができます。
- 不安な症状は医師に相談: 受診すべきか迷うような不安な症状がある場合は、自己判断せずに、まずは医療機関に電話で相談しましょう。
当院は、地域の皆様が安心して年末年始を過ごせるよう、体調不良のサポートに努めてまいります。どうぞご自愛ください。
【当院の年末年始の診療体制について】
2025年12月28日(日)~2026年1月4日(日)
上記日程で休診となりますので、この期間は他院様や休日診療所をご利用ください。
当院では各種クレジットカード、およびPayPayでの決済が可能です。
クレジットカード:VISA、Mastercard、JCB、Diners Club、American Express、JACCS、Discover
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