2025年秋の新型コロナ流行予測と最新対策
2025年秋の新型コロナ流行予測と最新データ
2025年の秋が近づき、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行傾向が再び注目されています。季節性インフルエンザやRSウイルス感染症と並び、COVID-19は依然として公衆衛生上の重要な課題です。本記事では、厚生労働省、世界保健機関(WHO)、米国疾病対策センター(CDC)などの最新データと専門家の見解に基づき、2025年秋のCOVID-19流行予測、主要な変異株の動向、ワクチンと治療薬の有効性、そして個人および社会が取るべき対策について詳しく解説します。
厚労省の発表から見る日本国内の傾向
厚生労働省の発表によると、2025年第35週(8月25日~8月31日)における全国のCOVID-19定点当たり報告数は8.37であり、昨年同期の7.46と比較して増加傾向にあります[1]。特に、高齢者施設や医療機関での集団感染が2024年と同レベルで報告されており、感染力は依然として強く、今冬には再び大きな流行が予想されています。
CDCによる海外の予測と比較
CDCの予測では、2025-2026年の米国における秋冬の呼吸器疾患シーズンにおいて、COVID-19、インフルエンザ、RSウイルスによるピーク時の入院率の合計が、昨シーズンと同程度(2024-2025年のピークの20%以内)になると見込まれています[2]。ただし、免疫回避能力が中程度の変異株が出現した場合は、より高いピークに達する可能性も指摘されています。
注目の変異株「ニンバス株(NB.1.8.1)」の特徴
現在、世界的に注目されている変異株の一つが、オミクロン派生株であるニンバス株(NB.1.8.1)です。WHOの分類では「監視下の変異株(Variant Under Monitoring)」に指定されており、2025年初頭に初めて報告されました[3]。
感染力・症状・重症化率
ニンバス株は、感染力と免疫逃避がやや強いとされていますが、重症化率は従来の株と同程度であると報告されています。
咽頭痛(カミソリ喉)に注意
症状の特徴としては、咽頭痛(いわゆる「カミソリ喉」)が注目されており、英国のデータでは感染者の74%が咽頭痛を訴え、そのうち約30%が強烈な痛みであったとされています。その他の発熱、倦怠感、咳、鼻汁などの症状は、従来の株と大きな違いはありません。
ワクチンと治療薬の最新情報
2025年秋に推奨されるワクチン
ワクチンは、発症予防効果は低下するものの、重症化予防効果は維持されていることが複数の研究で示されています[4]。WHOは、JN.1またはKP.2系統を標的とする単価ワクチンが引き続き適切であると助言しており、LP.8.1系統を標的とするワクチンも代替品として考慮できるとしています[3]。ワクチン接種を遅らせることなく、特に重症化リスクの高い人々は利用可能なワクチンを接種することが推奨されています。
有効な治療薬(パキロビッド・ラゲブリオ・ソコーバ)
治療薬については、パキロビッド®やラゲブリオ®が依然として有効であるとされています。これらの治療薬は、重症化リスクのある患者にとって重要な選択肢となります。
軽症患者さんにはゾコーバ®が有力な選択肢となります。
個人でできる感染対策と生活の工夫
基本の感染対策の継続
2025年秋の流行に備え、個人レベルでは以下の対策が引き続き重要です。
高齢者や基礎疾患を持つ方への注意点
ワクチン接種の検討
最新の流行株に対応したワクチンの接種を検討し、特に高齢者や基礎疾患を持つ方は接種を検討することも選択肢です。
基本的な感染対策の継続
手洗い、うがい、適切なマスク着用、換気、人混みを避けるなどの基本的な感染対策を継続しましょう。
体調管理
十分な睡眠と栄養をとり、免疫力を高めましょう。体調が悪い場合は無理せず自宅で療養し、必要に応じて医療機関を受診しましょう。
社会全体で必要な対応と備え
医療体制・サーベイランスの強化
変異株の出現や流行状況を早期に把握するため、継続的なサーベイランスが必要です。
流行の波に備え、医療機関の負担を軽減するための体制整備が求められます。
正しい情報提供の重要性
根拠に基づいた正確な情報を迅速に提供し、国民の理解と協力を得ることが重要です。
当院での対応
当院では、2025年秋の新型コロナウイルス流行に備えて、以下のような体制を整えています。
発熱・かぜ症状の方の診療
発熱や咳などの症状がある方は、通常の待合室とは別のスペースで診療を行い、院内感染のリスクを最小限に抑えています。
検査体制
必要に応じて抗原検査を実施し、結果に応じた迅速な対応を行っています。
治療体制
複数ある抗ウイルス薬の中から、患者様にあった薬剤をご提案いたします。
情報提供
最新の感染症情報は、当院ホームページや院内掲示で随時お知らせします。
結論
2025年秋の新型コロナウイルス流行は、新たな変異株の出現や過去の流行傾向から、再び一定の注意が必要となるでしょう。しかし、これまでの経験と科学的知見に基づいた適切な対策を講じることで、その影響を最小限に抑えることが可能です。個人と社会が一体となって感染対策に取り組むことが、この秋を乗り越える鍵となります。
<参考文献>
[1] 厚生労働省. 新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況)2025年. [https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00474.html](https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00474.html)
[2] CDC. 2025-2026 Respiratory Disease Season Outlook. [https://www.cdc.gov/cfa-qualitative-assessments/php/data-research/season-outlook25-26.html](https://www.cdc.gov/cfa-qualitative-assessments/php/data-research/season-outlook25-26.html)
[3] WHO. COVID-19 - Global Situation. [https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2025-DON572](https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2025-DON572)
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