アレルギー検査のいろいろ
アレルギー検査で原因を特定:症状改善と快適な生活への第一歩
アレルギーは、私たちの日常生活に様々な影響を及ぼす可能性があります。くしゃみ、鼻水、目のかゆみといった花粉症の症状から、食物アレルギーによる消化器症状や皮膚症状、さらには喘息発作など、その症状は多岐にわたります。これらのアレルギー症状は、日々の生活の質を著しく低下させるだけでなく、重症化すると命に関わる場合もあります。
しかし、アレルギーの原因を正確に特定することで、適切な対策を講じ、症状をコントロールし、より快適な生活を送ることが可能になります。その第一歩となるのが「アレルギー検査」です。アレルギー検査は、ご自身の体が何に反応しているのかを科学的に明らかにするための重要な手段です。
この記事では、アレルギー検査の種類や方法、アレルゲンを特定するメリット、費用、そして検査後の生活における注意点まで、アレルギー検査に関する包括的な情報を提供します。アレルギーでお悩みの方、ご自身の症状の原因を知りたい方は、ぜひご一読ください。
アレルギー検査の種類と方法
アレルギー検査には、主に血液検査と皮膚テストがあります。それぞれの検査方法には特徴があり、アレルギーの種類や症状に応じて適切な検査が選択されます。
- 血液検査
血液検査は、採血によってアレルギーの原因物質(アレルゲン)に対する特異的な抗体の量を調べる検査です。特に、即時型アレルギーの診断に用いられます。代表的なものには、以下のような検査があります。
特異的IgE抗体検査(VIEW39, MAST36/48など)
特定の食物や花粉、ダニ、ペットのフケなど、様々なアレルゲンに対するIgE抗体の量を測定します。VIEW39は39項目、MAST36やMAST48はそれぞれ36項目、48項目のアレルゲンを一度に調べることが可能です。これらの検査は、アレルギーの原因を特定する上で非常に有用です。
総IgE値、好酸球数
血中の総IgE値が高い場合、アレルギー体質である可能性が示唆されます。また、好酸球はアレルギー反応に関わる白血球の一種であり、その数が多い場合もアレルギー性炎症が起きている可能性があります。
- 皮膚テスト
皮膚テストは、皮膚に直接アレルゲンを接触させ、その反応を見る検査です。主に即時型アレルギーと遅延型アレルギーの診断に用いられます。
プリックテスト(当院では施行できませんが、必要に応じてみなと赤十字病院のアレルギー科にご紹介いたします。)
即時型アレルギーの検査として広く用いられています。アレルゲンを少量、皮膚の表面に針で軽く傷をつけて導入し、15分後の皮膚の反応(膨疹や発赤)を観察します。花粉症、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、ラテックスアレルギー、薬剤アレルギーなど、様々な即時型アレルギー疾患に適用されます。乳幼児にも安全に行うことができます[日本アレルギー学会. アレルギー検査方法の実際. [https://www.jsaweb.jp/modules/stwn/index.php?content_id=18]。
パッチテスト(当院では施行できませんが、必要に応じてみなと赤十字病院のアレルギー科にご紹介いたします。)
遅延型アレルギー、特に接触皮膚炎(かぶれ)の原因を特定するために行われます。アレルゲンを染み込ませた絆創膏を背中や腕に48時間貼り付け、その後、皮膚の反
応を判定します。金属、外用薬、日用品(シャンプー、ヘアカラー剤、香料など)、化粧品、職業的に触れる樹脂やゴム手袋など、多岐にわたる物質が検査対象となります[日本アレルギー学会. アレルギー検査方法の実際. [https://www.jsaweb.jp/modules/stwn/index.php?content_id=18]。
- その他の検査
アレルギーの種類によっては、上記以外の検査も行われます。
食物経口負荷試験(当院では施行できませんが、必要に応じてみなと赤十字病院のアレルギー科にご紹介いたします。)
食物アレルギーの確定診断に最も重要な検査です。アレルギーが疑われる食物を少量ずつ摂取し、症状の誘発の有無を確認します。医師の厳重な管理下で行われるため、入院が必要な場合もあります。
呼吸機能検査、呼気一酸化窒素検査(喘息の場合)
喘息の診断や病態評価のために行われます。呼吸機能検査では肺の機能(空気の出し入れの能力)を測定し、呼気一酸化窒素検査では気道の炎症の程度を評価します。
検査でわかること:アレルゲンの特定
アレルギー検査を行うことで、ご自身の体がどのような物質に過敏に反応しているのか、つまり「アレルゲン」を特定することができます。アレルゲンは多岐にわたり、日常生活の様々な場面に潜んでいます。
吸入性アレルゲン
花粉(スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサなど)、ダニ(ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニなど)、ハウスダスト、カビ(アスペルギルス、アルテルナリア、カンジダなど)、ペットのフケや毛などが挙げられます。これらは、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息などの原因となります。
食物アレルゲン
卵、乳製品、小麦、そば、落花生、えび、かに、くるみなどが「特定原材料」として表示が義務付けられています。その他にも、大豆、ごま、カシューナッツ、アーモンド、オレンジ、キウイ、バナナ、リンゴ、牛肉、豚肉、鶏肉、サバ、サケ、イカ、イクラ、マグロなど、様々な食物がアレルゲンとなり得ます。食物アレルギーは、消化器症状、皮膚症状、呼吸器症状など、全身に様々な症状を引き起こす可能性があります。
その他
金属(ニッケル、コバルト、クロムなど)、薬剤、蜂毒、アニサキスなどもアレルゲンとなることがあります。特にアニサキスアレルギーは、魚介類に寄生するアニサキスのタンパク質に対するアレルギー反応で、近年注目されています。
アレルゲンを特定することで、日常生活でのアレルゲン回避や、症状に応じた適切な治療法の選択が可能になります。
保険適用としての費用
アレルギー検査の費用は、検査の種類や項目数、医療機関によって異なります。アレルギー症状があり、医師が検査の必要性を認めた場合、アレルギー検査は保険適用となります。例えば、39項目のアレルゲンを一度に調べられる「VIEW39」検査の場合、3割負担で約5,000円程度が目安となります。これに加えて、診察料などが別途かかります。
アレルギー検査を受ける際は、ご自身の症状や希望に応じて、医師とよく相談し、検査内容や費用について事前に確認することが重要です。
検査後の生活:アレルゲンとの付き合い方
アレルギー検査によってアレルゲンが特定されたら、次に重要なのは、そのアレルゲンとの付き合い方を学ぶことです。アレルゲンを完全に避けることは難しい場合もありますが、日常生活の中でアレルゲンへの曝露を減らすことで、症状の軽減や発症の予防につながります。
花粉
花粉症の場合、花粉飛散時期には窓を閉め、空気清浄機やエアコンを適切に利用しましょう。外出時にはマスクや眼鏡、帽子を着用し、帰宅後は衣服についた花粉をよく払い、手洗いやうがい、洗顔を行うことが推奨されます。
室内塵(ほこり、ハウスダスト)とダニ
定期的な掃除機がけで、ダニのフンや死骸を除去することが重要です。寝具は日光に当てて乾燥させたり、丸洗い可能なものを選んだりするのも効果的です。室内の温度や湿度を適切に保つことで、ダニの繁殖を抑制できます。
真菌(カビ)
カビの繁殖を防ぐためには、換気を良くして湿度を下げるのが効果的です。浴室やトイレは使用後にしっかりと換気を行い、エアコンのフィルターも定期的に清掃しましょう。
動物
ペットの毛やフケがアレルゲンの場合、可能であればペットを飼わないことが最善ですが、難しい場合は定期的な掃除や空気清浄機の使用、ペットのシャンプーなどで対策を講じます。
食物
食物アレルギーの場合、医師の指導のもと、必要最小限の範囲でアレルゲンとなる食物を避けることが基本です。自己判断で過度な食事制限を行うと、栄養不足になる可能性もあるため、必ず専門医と相談しながら進めましょう。また、加工食品の表示を確認することも重要です。
アレルゲンとの付き合い方は、個々のアレルゲンや症状の程度によって異なります。医師や管理栄養士などの専門家と相談し、ご自身に合った具体的な対策を立てることが大切です。
おわりに:専門医によるサポート
アレルギー症状は、日常生活に大きな影響を与える可能性がありますが、適切なアレルギー検査によって原因を特定し、それに基づいた対策を講じることで、症状をコントロールし、より快適な生活を送ることが可能です。
当院では、患者様一人ひとりの症状やライフスタイルに合わせたアレルギー検査と治療を提供しています。経験豊富な医師が、検査結果に基づいて最適な治療計画をご提案し、アレルゲンとの上手な付き合い方についても丁寧にアドバイスいたします。当院可能な検査は、上記に挙げたように「血液検査および呼吸系検査」であり、それ以外に関しては連携病院のみなと赤十字病院アレルギー科に適切にご紹介させていただきます。アレルギーでお悩みの方、ご自身の症状の原因を知りたい方は、お気軽にご相談ください。早期発見・早期治療が、快適な生活への第一歩となります。御予約はこちら
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