溶連菌感染症(ようれんきんかんせんしょう)
症状
溶連菌感染症とは、「溶血性レンサ球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)」という細菌がのどや皮ふに感染して起こる病気です。特に子ども(3~12歳)に多く見られますが、大人もかかることがあります。
主な症状(のどに感染した場合)
- 急なのどの痛み(とても強く、食べ物や水を飲むときにしみる)
- 発熱(38~40℃):突然の高熱が出ることが多い
- 頭痛、だるさ、寒気
- 首のリンパ節が腫れる(触ると痛い)
- のどの赤みや白い膿(扁桃に白苔)
- 舌がいちごのように赤くブツブツになる(いちご舌)
- 発疹(はっしん):細かいブツブツが体に出ることもある(猩紅熱=しょうこうねつ)
※風邪との違いは、「鼻水や咳が少ない」「のどの痛みが急に強くなる」「高熱が出る」点です。
感染経路
- 飛まつ感染(咳やくしゃみ)
- 接触感染(手や物を通じて)
集団生活(保育園、学校、職場など)でうつりやすく、流行しやすい病気です。
皮ふに出ることも
- とびひ(伝染性膿痂疹):かゆみのある水ぶくれ、かさぶた
- 化膿性リンパ節炎:首の腫れ
- まれに中耳炎、副鼻腔炎を合併することも
注意が必要な合併症(まれだが重大)
- 急性腎炎(尿の色が赤くなる、むくみ)
- リウマチ熱(心臓や関節に炎症)
- しょう紅熱(発疹が出て皮がむけることも)
これらを防ぐためにも、きちんと治療して、薬を最後まで飲み切ることが大切です。
検査、診断
溶連菌感染症は、特徴的なのどの所見と迅速検査によってすぐに診断できる病気です。風邪と見分けがつきにくいため、強いのどの痛みや高熱があるときには検査がすすめられます。
1. 問診と診察
医師は次のような点を確認します:
- のどの痛みの強さ、発熱の経過
- 咳や鼻水の有無(溶連菌ではあまり出ない)
- 発疹やいちご舌があるか
- 家族やクラスメートに似た症状の人がいるか
そして、のどをライトで確認して、赤みや腫れ、白い膿があるかをチェックします。
2. 溶連菌迅速検査(のどぬぐい)
- のどの奥を綿棒でぬぐって、10分ほどで結果が出る検査キット
- 90%以上の精度で診断がつき、陽性であれば抗菌薬治療を開始
- 発症直後でも検出されやすく、子どもにも簡単に行える検査
3. 血液検査(必要に応じて)
- 白血球数やCRPなどで炎症の程度を確認
- 合併症(腎炎やリウマチ熱)が疑われる場合には、ASO(抗ストレプトリジンO抗体)という抗体を調べることもあります(過去の感染を示す)
鑑別(まぎらわしい病気)
| 疾患名 | 特徴 |
|---|---|
| ウイルス性咽頭炎 | 咳・鼻水あり、熱は軽め、自然に治る |
| アデノウイルス感染症 | のどの痛み+結膜炎、発熱が長引く |
| インフルエンザ | 高熱+全身の痛み、咳も強い |
| 扁桃周囲膿瘍 | のどの痛みが片側に強く、口が開きづらい |
治療
溶連菌感染症は抗菌薬(抗生物質)によってしっかり治療することで、ほとんどの人が数日でよくなります。ただし、症状が軽くなっても、決められた期間、薬を飲みきることが非常に大切です。
抗菌薬(抗生物質)による治療
- ペニシリン系(アモキシシリンなど)が第一選択
- アレルギーがある場合はマクロライド系(クラリスロマイシンなど)を使用
- 通常10日間の内服が必要
➡ 症状が早く良くなっても途中でやめないこと!
合併症(腎炎・リウマチ熱)を防ぐために、最後まで飲み切るのが原則です。
対症療法
- のどの痛みに:解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)
- 水分や食事がとれない場合は点滴治療が必要になることもあります
- 発疹やかゆみがあるときには抗ヒスタミン薬
家庭でのケア
- 水分補給をしっかり(のどの粘膜を守る)
- のどにやさしい食事を(おかゆ、スープ、ゼリーなど)
- 十分な休養と安静
- タオルや食器の共用は避ける
登園・登校の目安
- 抗生物質を飲み始めて24時間以上経過し、熱が下がって元気になっていれば、登校・登園は可能です(地域の学校医や園医の指示に従ってください)
ご相談ください
溶連菌感染症は正しく診断して、早めに治療を始めることで重症化や合併症を防げる病気です。とくに小さなお子さまがいるご家庭では、のどの強い痛みや高熱がある場合には、放置せず早めに受診することが大切です。
「風邪だと思っていたらどんどん悪化してきた」「のどが真っ赤」「家族も次々と症状が出ている」など、お困りの際はお気軽にご相談ください。
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