マイコプラズマ肺炎(まいこぷらずまはいえん)
症状
マイコプラズマ肺炎は、「マイコプラズマ・ニューモニエ」という細菌の仲間によって起こる肺炎で、子どもから大人までかかる「比較的軽症な肺炎」として知られています。ただし、咳が長引いたり、重症化することもあるため、早めの対応が大切です。
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主な症状
- 咳(せき):特に乾いた咳(痰が少ない)が特徴で、数週間続くこともある
- 発熱:38〜39度の発熱が数日続くことがある
- 頭痛、だるさ
- のどの痛み
- 胸の痛み(咳をすると痛い)
- 食欲不振
特に目立つのはしつこい咳で、昼よりも夜間や運動時に悪化しやすい傾向があります。発熱やのどの痛みから始まり、熱が下がっても咳だけが長く続くケースもあります。
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どんな人がかかる?
- 学童期(小中学生)に多い
- 高校生~30代の若い成人もかかりやすい
- 家族やクラスメートの間でうつりやすい(飛まつ感染)
- 一度かかっても、完全な免疫がつかないため再感染の可能性あり
「歩ける肺炎」とも呼ばれる理由
発熱があっても元気に動けるため、肺炎と気づかずに学校や職場に行ってしまうことが多いです。このことから「歩ける肺炎」とも呼ばれています。
検査、診断
マイコプラズマ肺炎は、見た目の症状だけではほかの風邪や肺炎と区別がつきにくいため、検査による診断が重要です。
1. 問診・診察
- どのような咳か(乾いた咳、夜に悪化など)
- いつから発熱・咳があるか
- 周囲に同じような症状の人がいないか(学校、家庭、職場など)
胸の音を聴診器で聞くと、「ヒューヒュー」「パチパチ」といった音がすることもありますが、初期は目立った音がないこともあります。
2. 胸部レントゲン検査
- レントゲンでは肺の奥に白くぼんやりとした影(浸潤影)が出ることがあります
- ただし、症状のわりに画像上の変化が軽いことも多く、「風邪と区別がつきにくい」のが特徴です
3. 血液検査
- 白血球数やCRP(炎症の程度)を確認します
- ウイルス性の風邪との違いを判断する手がかりになります
4. マイコプラズマ迅速抗原検査(のどや鼻から検体採取)
- 約15分で結果がわかる簡易検査キット
- 感度(見つけやすさ)はやや低いものの、診断の助けになります
5. 抗体検査(血液)・PCR検査
- 正確な診断にはマイコプラズマIgM抗体検査が使われますが、結果が出るまでに数日かかることがあります
- PCR検査では、遺伝子レベルで病原体を特定できます(精度は高いですが、一般クリニックでは行えないことも)
症状と検査結果を総合的にみて診断を行います。症状が典型的であれば、検査前に治療を始めることもあります。
治療
マイコプラズマ肺炎は、自然に治ることもありますが、咳が長引いたり他の人にうつす可能性があるため、抗菌薬による治療が一般的です。
抗菌薬(抗生物質)による治療
マイコプラズマは通常の細菌と違い、「細胞壁を持たない」ため、ペニシリン系などの抗生物質は効きません。
効果がある抗菌薬は次の通りです:
- マクロライド系(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど):小児や軽症例で使用
- テトラサイクリン系(ドキシサイクリンなど):12歳以上の中等症〜重症例
- ニューキノロン系(レボフロキサシンなど):成人に使用されることが多い
※最近はマクロライド系が効きにくい耐性マイコプラズマが増えており、必要に応じて薬の変更を行います。
その他の薬
- 咳止めや去痰薬:咳を軽くするために使用
- 解熱薬:発熱や頭痛に対して使用(アセトアミノフェンなど)
生活上の注意
- 水分補給をしっかり(熱・咳で水分が失われやすい)
- 安静と栄養を大切に
- 咳エチケット(マスク)を守る:飛沫感染を防ぐため
- 咳が続くときは無理をしない:咳喘息や気管支炎に移行することもあります
登校・出勤の目安
- 発熱がなくなり、咳が落ち着いてきたら復帰可能です
- 医師の指示に従い、咳が強く残る場合はマスクを着用するなど周囲への配慮が必要です
ご相談ください
マイコプラズマ肺炎は軽い肺炎の一種ですが、咳が長引いて日常生活に支障をきたすこともあり、早めの診断と適切な治療が大切です。「風邪が長引いている」「咳だけなかなか治らない」「家族にうつってきたかも」といったときは、お気軽にご相談ください。
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