日中の眠気・いびき
日中の眠気・いびきとは?
「日中の眠気」と「いびき」は、どちらも睡眠の質に関係する症状で、多くの人に見られる身近な問題です。とくにこの2つがセットで現れる場合、体の中で何か異常が起きているサインかもしれません。
日中の眠気とは?
夜にしっかり眠っているはずなのに、昼間に眠くて集中できない、仕事や勉強に支障が出る、うたた寝をしてしまう、といった状態を指します。単に「寝不足」ではなく、睡眠の質が悪くなっている可能性があります。
いびきとは?
寝ているときに、「ガーガー」「グーグー」と音をたてて呼吸する状態です。のどの奥が狭くなって、空気が通るときに粘膜がふるえて音が出ます。疲れているときや仰向けで寝ているときに出やすいですが、毎晩大きないびきをかく場合は、病気が隠れている可能性があります。
とくに注意すべきなのは「睡眠時無呼吸症候群(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)」です。
これは、眠っている間に何度も呼吸が止まってしまう病気で、多くはいびきを伴います。呼吸が止まることで十分な酸素がとれず、夜間に何度も目が覚めてしまいます。その結果、日中の強い眠気や疲労感が出るようになります。
このような人は要注意
- 毎晩大きないびきをかく
- 家族に「呼吸が止まっていた」と言われた
- 朝起きても疲れが取れていない
- 日中に居眠りしてしまう
- 集中力や記憶力が落ちてきた
- 高血圧、糖尿病、肥満がある
いびきは自分では気づかないことが多く、家族の指摘で初めてわかることもあります。放っておくと生活の質が下がるだけでなく、心臓病や脳卒中のリスクが高まることもあります。早めにチェックすることが大切です。
日中の眠気・いびきの検査
日中の強い眠気やいびきが続くときは、睡眠の質に問題があるかどうかを調べる必要があります。以下のような検査や評価を行います。
【1】問診
いつから眠気やいびきがあるか、日中の生活にどんな影響があるか、家族にいびきを指摘されたことがあるかなどをくわしく聞きます。
【2】身体計測・診察
首まわりの太さや、のどの奥(扁桃腺や舌の位置)などを確認します。肥満体型やあごが小さいタイプの人は、気道が狭くなりやすく、無呼吸になりやすい傾向があります。
【3】エプワース眠気尺度(ESS)などの質問票
「昼間にどのくらい眠くなるか」を数値化する質問票で、眠気の程度を評価します。簡単にできるスクリーニング検査のひとつです。
【4】簡易検査
寝る前に小型の機械を体に装着し、呼吸や酸素濃度などを測定します。簡易ですが、睡眠時無呼吸症候群の有無の判断に有用です。
【5】終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
もっとも詳しく調べる検査です。脳波・呼吸・酸素濃度・心拍数・いびき音・足の動きなどを同時に記録します。睡眠の深さや、無呼吸の回数・時間が正確にわかります。こちらも自宅で行えます。
【6】血液検査・心電図など
必要に応じて、合併している病気(高血圧、糖尿病、心疾患など)がないかを調べます。
どの検査を行うかは、症状の重さや全身の状態によって判断します。検査の結果から、日中の眠気の本当の原因を突き止め、最も適した治療法を選びます。
日中の眠気・いびきの治療
眠気やいびきの治療は、睡眠の質を高め、体の負担を減らすことが目的です。とくに睡眠時無呼吸症候群の治療が中心になります。
【1】生活習慣の改善
- 減量:肥満はのどの気道を圧迫し、いびきを悪化させます。適正体重を目指すことで改善するケースが多いです。
- 横向きで寝る:仰向けだと舌がのどに落ち込みやすくなります。横向きで寝ることで気道が確保されます。
- 飲酒を控える:アルコールは筋肉をゆるめ、いびきを悪化させます。とくに寝る前の飲酒は避けましょう。
- 規則正しい生活:睡眠時間を十分に確保し、体内時計を整えることが大切です。
【2】CPAP(シーパップ)療法
「睡眠時無呼吸症候群」の標準的な治療です。寝るときに鼻にマスクをつけ、空気を送り続けることで気道を広げ、無呼吸を防ぎます。機械は小型で、家庭でも使用可能です。多くの人がこの治療で劇的に改善します。
【3】マウスピース治療(口腔内装置)
軽度~中等度の無呼吸やいびきには、専用のマウスピースを装着する治療もあります。下あごを少し前に出すことで、のどの奥を広げて空気の通り道を確保します。
【4】薬物療法
基本的にいびきや無呼吸に直接効く薬は少ないですが、鼻づまりやアレルギーなどの影響がある場合は、症状を和らげる薬を使うことがあります。
【5】外科手術
扁桃腺の肥大や鼻の構造が原因で気道が狭くなっている場合には、手術を行うこともあります。ただしこれは一部の人に限られます。
ご相談ください
いびきや眠気は「ただの疲れ」や「加齢のせい」と思われがちですが、病気のサインであることもあります。とくに昼間の眠気が強い方や、いびきがひどいと指摘された方は、一度検査を受けてみることをおすすめします。
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