帯状疱疹(たいじょうほうしん)
症状
帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、水ぼうそう(水痘)ウイルスが原因で起こる皮膚と神経の病気です。子どものころにかかった水ぼうそうのウイルスは、治ったあとも神経の中に潜んで残っており、大人になってから免疫力が落ちたときに再び動き出して発症します。
主な症状
- 皮膚に赤い斑点ができ、その上に水ぶくれ(水疱)が出てくる
- 体の片側だけに帯状に現れる(左右対称ではない)
- 皮膚の痛み・ピリピリするような違和感が強い
- 神経に沿って痛みが広がる
- かさぶたができて2~3週間で治ってくるが、痛みだけが長引くこともある
よく出る部位
- 胸・お腹・背中・腰まわり(最も多い)
- 顔(特に目の周り、耳のまわり)
- 足や腕などにも出ることがあります
初期のサイン
- 発疹が出る数日前から「皮膚がピリピリする」「触ると痛い」という神経痛のような症状が出る
- 発疹が出るまで「原因不明の痛み」と思われることもあります
どんな人がなりやすい?
- 50歳以上の人(年齢とともにリスク上昇)
- 疲れがたまっているとき
- がん治療やステロイド治療を受けている人
- ストレスが多い生活をしている人
- 糖尿病などの基礎疾患がある人
合併症・後遺症
- 帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)
→ 発疹が治っても、長く痛みだけが残る状態(3か月以上続くことも) - 顔面神経まひ、視力低下、難聴など(顔や耳、目の周りに出たとき)
- 皮膚の色素沈着や瘢痕(あとが残ることがある)
検査、診断
帯状疱疹は、多くの場合医師の診察(見た目と症状)で診断が可能です。特に、特徴的な赤い水ぶくれと帯状の配置、痛みの訴えがそろっていれば、追加の検査は必要ないこともあります。
1. 問診・視診(症状の聞き取りと皮膚の観察)
- いつからどこに痛みがあるか
- どのような痛みか(ピリピリ、焼けるような)
- 発疹の広がり方(体の片側だけに帯状)
- 発熱、だるさ、頭痛などの全身症状の有無
→ 見た目や症状の経過から、帯状疱疹が強く疑われます。
2. Tzanck(ツァンク)試験(必要な場合)
- 水ぶくれの中の細胞を顕微鏡で見て、ウイルス性の変化があるかを確認
- 通常の診療ではあまり行われませんが、診断が難しいときに使用
3. ウイルス検出検査(PCR検査など)
- 水疱からウイルスのDNAを調べて、水痘帯状疱疹ウイルスの存在を確認
- 他の病気(単純ヘルペスなど)との区別が必要なときに行うこともあります
鑑別が必要な病気
- 単純ヘルペス(口唇や陰部などに出る)
- 帯状に出る湿疹(アレルギー、虫刺され)
- 帯状の皮膚炎(薬疹など)
治療
帯状疱疹の治療は、できるだけ早く抗ウイルス薬を使うことが最も重要です。発疹が出てから72時間以内に治療を始めると、症状が軽くなり、後遺症のリスクも減ります。
抗ウイルス薬(ウイルスの増殖を抑える)
- バラシクロビル(バルトレックス)
- ファムシクロビル(ファムビル)
- アシクロビル(ゾビラックス)
これらは5〜7日間内服します。重症例や飲めない場合は、点滴治療を行うこともあります。
痛みへの対応(鎮痛薬)
- アセトアミノフェンやロキソニンなどの解熱鎮痛薬
- 神経の痛みに効く薬(プレガバリン、デュロキセチンなど)
- 漢方薬(柴胡桂枝湯など)や湿布を併用することもあります
→ 痛みが長引く前にしっかりコントロールすることが大切です。
帯状疱疹後神経痛の予防と治療
- 高齢者ほど神経痛が残りやすいため、早期治療と痛み対策が重要
- 長引く場合には、ペインクリニックでの神経ブロック治療も検討されます
皮膚のケア
- 水ぶくれが破れたときは、細菌感染を防ぐため清潔を保つ
- 軟膏や抗生物質の塗り薬を使うこともあります
- かさぶたが取れるまでは、温泉やプールは避けましょう
ワクチンによる予防
- 50歳以上の方には帯状疱疹ワクチン(シングリックスなど)が推奨されています
- 2回接種で、帯状疱疹の発症と神経痛のリスクを大きく下げることができます
ご相談ください
帯状疱疹は、早めの治療によって症状や痛みをやわらげ、後遺症を防ぐことができる病気です。「ピリピリした痛み」「帯のように赤い発疹」「夜に痛みで眠れない」などの症状があれば、できるだけ早く受診することをおすすめします。
また、50歳以上の方はワクチン接種で予防が可能です。ご希望の方は、お気軽にご相談ください。
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