肺炎(はいえん)
症状
肺炎(はいえん)とは、肺に細菌やウイルスなどの病原体が入り込み、肺の中で炎症が起きる病気です。風邪とよく似た症状で始まりますが、肺の奥まで炎症が広がることで、より重い症状になることがあるため注意が必要です。
主な症状
- せき(乾いたせき、または痰がからむせき)
- 発熱(38度以上の高熱になることが多い)
- 息切れ、息苦しさ
- 胸の痛み(特に深呼吸や咳で痛むことがある)
- 全身のだるさ、食欲低下
- 高齢者では意識がもうろうとする、元気がなくなる、食事が取れないなどの症状で気づかれることもある
肺炎はどんな人がなりやすい?
- 高齢者(65歳以上)
- 慢性の病気を持っている人(糖尿病、心臓病、呼吸器疾患など)
- 免疫力が落ちている人(抗がん剤治療中、ステロイド内服中など)
- 喫煙者、飲酒量が多い人
風邪との違い
- 風邪:のど・鼻など上気道の症状が中心。数日でよくなる。
- 肺炎:咳が長引く、熱が高い、息苦しい、胸の痛みがあるなどの症状が強くなることが多い。
「風邪だと思っていたのに、どんどん悪化してきた…」という場合は、肺炎の可能性があります。早めの受診がとても大切です。
検査、診断
肺炎が疑われる場合、医師は症状の聞き取りと診察をしたうえで、画像検査や血液検査などを行って診断します。
1. 聞き取りと診察(問診・聴診)
- いつからどんな症状があるか(咳、熱、だるさ、呼吸苦など)
- 持病の有無(喘息、COPD、糖尿病など)
- たばこ歴、ワクチン歴(肺炎球菌、インフルエンザ)
- 胸の音(聴診器)で「ゴロゴロ」や「パチパチ」といった異常な呼吸音が聞かれることがあります。
2. 胸部レントゲン検査(X線)
肺の中に白い影(炎症)や浸潤(じゅんじゅん)があるかを確認します。肺炎の診断において非常に重要な検査です。
- 白い影がある場合=肺に炎症や水がたまっている可能性
- 影の広がり方、場所、左右差などで重症度の目安もつきます
3. 血液検査
- 白血球数・CRP(炎症の強さ)
- 酸素の値(SpO₂):酸素がどれくらい体に取り込まれているかを確認
- 腎臓・肝臓・脱水の有無なども総合的に判断します
4. 痰(たん)の検査
- 細菌検査(グラム染色・培養):原因菌を特定し、どの抗生物質が効くか調べます
- ウイルス検査:インフルエンザ、RSウイルス、新型コロナなどが疑われる場合に迅速検査を行います
5. 必要に応じて行う検査
- 胸部CT検査:X線でわかりにくい部分を詳細に評価
- 尿検査:レジオネラ菌や肺炎球菌の抗原を調べることができます
- 酸素飽和度測定(パルスオキシメーター):軽症か重症かの判断材料になります
肺炎は重症度と原因を正確に見極めることが治療につながるため、症状が軽くても必要な検査を受けておくことが大切です。
治療
肺炎の治療は、原因(細菌かウイルスか)、重症度、患者さんの体調によって大きく変わります。多くの場合は抗菌薬(抗生物質)を使った治療が行われます。
薬物療法(抗菌薬・抗ウイルス薬)
- 細菌性肺炎:抗菌薬(飲み薬や点滴)
- 重症例や高齢者では、最初から点滴治療が必要なことも
- 治療は通常5~7日間
入院が必要な場合
以下のようなケースでは入院による治療がすすめられます:
- 高齢者で体力が弱っている
- 酸素が必要(SpO₂が90%未満)
- 高熱が続く、食事や水分がとれない
- 意識がぼんやりしている
- 家でのケアが困難な場合
症状をやわらげる治療(対症療法)
- 解熱薬や鎮咳薬(咳止め)でつらさをやわらげる
- 酸素吸入(必要に応じて)
- 点滴で水分補給、栄養補助
自宅療養の場合の注意点
- 処方された薬は指示通りにしっかり飲みきる
- 安静と栄養、水分補給を大切に
- 咳が長引く、息苦しい、熱が続く場合は再受診を
予防がとても大切
- 肺炎球菌ワクチン(高齢者・基礎疾患のある方)
- インフルエンザワクチン(毎年)
- 手洗い・うがい・マスク
- 禁煙と適度な運動で体力維持
ご相談ください
肺炎は早期に適切な治療を受ければ十分に治る病気です。ただし、放置すると命にかかわることもあるため、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。
「風邪が長引いている」「高齢の家族の元気がない」「咳と熱が続く」など、気になる症状があれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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