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心因性咳嗽

症状

心因性咳嗽(しんいんせいがいそう)とは、ストレスや心理的な要因(こころの状態)が原因で続く咳のことです。体のどこにもはっきりとした病気が見つからないのに、咳だけが長く続くのが特徴です。

この病気は特に、子どもや思春期(中学生・高校生)に多くみられる傾向がありますが、大人でも起こることがあります。原因が体ではなく「こころ」にあるため、本人や周囲の人も「まさか精神的なものが原因だとは思わなかった」というケースが多いです。

心因性咳嗽の特徴として、次のような点が挙げられます:

  • 咳が長期間(数週間〜数か月)続く
  • 日中(学校や職場など)で特に咳が多くなる
  • 就寝中は咳が止まっている(眠っている間は出ない)
  • 会話中や注目されているときに咳が増える
  • 市販の咳止めや風邪薬ではほとんど効果がない
  • 本人は咳が「クセになっている」と感じていることがある

心因性咳嗽の咳は、コンコンという乾いた咳が繰り返し出ることが多く、特に緊張する場面(授業中、発表の前、人前など)で強くなります。一方で、好きなことをしているときや、リラックスしているときは咳が軽くなることがあります。

咳は「からだの異常を知らせるサイン」ですが、心因性咳嗽は、心の緊張や不安が体に表れたサインでもあります。本人に悪気はまったくなく、「つらいのに原因がわからない」と悩んでいることが多いのです。

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検査、診断

心因性咳嗽は、体に明らかな異常がないのに咳が続く病気です。そのため、診断のためには、まず他の病気がないことを確認すること(除外診断)が大切です。

まずは以下のような咳の原因となる病気を順に確認します:

  • 気管支喘息・咳喘息・アトピー咳嗽
     呼吸機能検査(スパイロメトリー)、呼気一酸化窒素(FeNO)検査などを行い、気道に炎症や狭窄がないかを確認します。
  • 感染症(風邪、肺炎、副鼻腔炎など)
     胸部レントゲン検査や、鼻・のどの状態の確認、血液検査で炎症の有無を調べます。
  • アレルギー性鼻炎や後鼻漏
     鼻の中やのどの状態を確認し、アレルギー検査を行うことがあります。
  • 胃食道逆流症(GERD)
     胃酸の逆流が原因で咳が出ることがあるため、胸やけやのどの違和感があるかどうかもチェックします。

これらの病気をすべて検査し、特に異常が見つからないのに咳が続いている場合、心因性咳嗽の可能性を考えます。

診察では、本人がどんな場面で咳が出やすいか、学校や家庭でのストレスがないか、睡眠はとれているか、など生活背景やこころの状態について丁寧に話を聞くことがとても大切です。

中には、本人も気づかないうちにプレッシャーや不安を感じていることがあります。検査で異常がない場合でも、「気のせい」と決めつけるのではなく、咳という形でこころがSOSを出していることに気づいてあげることが重要です。

治療

心因性咳嗽の治療は、こころとからだの両方にやさしく向き合うことが基本です。原因が「こころ」にあるといっても、決して「甘え」や「演技」ではありません。本人にとっては本当に辛く、しっかりとしたサポートが必要です。

治療のステップは大きく3つです:

咳のメカニズムの説明(安心させる)

まず、医師から「体の検査で病気は見つからなかった」「この咳はストレスや緊張が関係していることがある」とやさしく説明し、本人とご家族に安心してもらうことがとても大切です。

この説明だけで、症状が軽くなることもあります。病気ではないとわかることで、本人が不安から解放されるためです。

環境の見直し・ストレス軽減

学校や家庭での環境が原因になっていることがあるため、無理をしていないか、過度に緊張していないかを見直します。

  • 学校でのプレッシャーや人間関係
  • 家庭での変化(転校、引っ越し、兄弟関係など)
  • 自分に対する過度な期待や完璧主義

こうした背景に気づくことで、咳の根本原因を取り除く手がかりになります。

必要に応じて専門的なケア

症状が続く場合や、学校生活に支障が出ている場合には、心理カウンセリングや心療内科でのサポートが有効です。本人の気持ちを整理したり、ストレスへの対応力を高める支援を受けることができます。

補助的な治療:

  • 呼吸訓練やリラクゼーション法:深呼吸や腹式呼吸で気持ちを落ち着ける
  • 行動療法:咳の出るきっかけを記録して、少しずつ減らす練習
  • 薬物治療:抗不安薬や抗うつ薬などの薬剤を適宜使用することで、精神的な要素を和らげる効果が期待できます。これらの薬は、気持ちの緊張をゆるめたり、不安を和らげる働きがあります。

心因性咳嗽は、「こころのサイン」が「咳」として現れているものです。咳そのものを抑えるのではなく、心の奥にある原因に気づき、寄り添うことが最も大切な治療になります。

ご相談ください

咳が長く続いているのに、検査をしても異常がない場合、「心因性咳嗽」の可能性があります。本人はもちろん、ご家族の不安も大きいと思います。当院では、咳の専門診療として、体の病気と心の状態の両面から丁寧に診察し、より専門的な診察が必要と判断した場合には精神科の先生と連携しつつ、一人ひとりに合った治療をご提案しています。どうぞお気軽にご相談ください。

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