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間質性肺炎(かんしつせいはいえん)

症状

間質性肺炎とは、肺の中の「間質(かんしつ)」という部分に炎症が起きて、呼吸がしづらくなる病気です。

「間質」とは、肺の中で空気の通り道(肺胞:はいほう)を支えている「うすい膜」のような部分で、普段は目立ちませんが、炎症を起こすとそこが厚く硬くなってしまい、酸素が体に取り込みにくくなるのです。

この病気は、「肺炎」と名前にありますが、感染症による一般的な肺炎とは違い、細菌やウイルスが原因ではないことが多く、進行性で慢性的な経過をたどることが特徴です。

代表的な症状は次のとおりです:
  • 息切れ(最初は坂道や階段だけだったのが、徐々に歩くだけでも苦しくなる)
  • 乾いた咳(からせき)が長く続く
  • 声がかすれる、話すと息切れする
  • 体がだるい、食欲が落ちる、体重が減る
  • 胸の違和感(締めつけられるような感じ)

初期は症状が軽く、「年齢のせいかな」「体力が落ちたかな」と見過ごされやすいですが、徐々に肺が硬くなっていくと、呼吸がつらくなり、酸素が足りなくなるため、早めの診断と対応が重要です。

間質性肺炎にはいくつかのタイプがあります:
  • 特発性間質性肺炎(とくはつせい):原因がはっきりしないもの。中でも「特発性肺線維症(IPF)」は進行が速いタイプ。
  • 膠原病(こうげんびょう)に伴うもの:関節リウマチ、全身性強皮症など自己免疫の病気に合併する。
  • 薬剤性:薬の副作用で肺に炎症が起こる。
  • 環境要因によるもの:カビやホコリを長期間吸うことで起こる「過敏性肺炎」など。

検査、診断

間質性肺炎は、早期にはレントゲンで見つかりにくいこともあり、診断にはいくつかの検査を組み合わせる必要があります。症状や経過のほか、画像検査や呼吸の検査などを行い、総合的に判断します。

主な検査は以下の通りです:

1. 胸部レントゲン検査

肺のすりガラスのような影、線状の影などを確認します。進行した場合は、肺が縮んで見えたり、両側の下の方に異常が出ることが多いです。

2. 胸部CT検査(高分解能CT)

間質性肺炎の診断に最も重要な検査です。肺の内部構造が詳細にわかり、小さな異常も見つけやすいため、「蜂の巣状変化(ハニカム変化)」や「すりガラス影」など典型的な所見を確認できます。

3. 呼吸機能検査(スパイロメトリーなど)

肺活量が減っているか、肺の弾力性が失われていないかを確認します。間質性肺炎では、肺が硬くなって膨らみにくくなる「拘束性障害(こうそくせいしょうがい)」が見られることが多いです。

4. 血液検査

  • KL-6、SP-D、SP-Aなどの肺の炎症マーカー
  • 自己抗体検査(膠原病の合併を確認するため)

5. 動脈血ガス検査

体の中の酸素と二酸化炭素のバランスを調べ、呼吸がどれだけ正常に行われているかを確認します。

6. 気管支鏡検査(必要に応じて)

確定診断が難しい場合、内視鏡を使って肺の組織を採取(生検)し、病理診断を行うこともあります。

検査結果をもとに、どのタイプの間質性肺炎か、進行の速さはどうかなどを評価し、治療方針を決定します。

治療

間質性肺炎の治療では、原因に応じた治療と、進行を遅らせる治療が中心になります。ただし、完全に治すことが難しい病気も多く、進行を抑えること、生活の質(QOL)を保つことが大切です。

特発性肺線維症(IPF)の治療

IPF(特発性肺線維症)は、進行性の間質性肺炎の中でも代表的なタイプで、治療には抗線維化薬(こうせんいかやく)という特殊な薬が使われます。

  • ピルフェニドン(ピレスパ)
  • ニンテダニブ(オフェブ)

これらの薬は、肺の硬くなるスピードを遅らせることが目的です。症状を完全に消す薬ではありませんが、進行をゆるやかにし、長期的な呼吸機能の維持に役立ちます。

ステロイドや免疫抑制薬の使用

自己免疫性疾患に伴う間質性肺炎(リウマチ、強皮症など)では、ステロイド(プレドニゾロン)や免疫抑制剤(タクロリムス、アザチオプリンなど)が使われることがあります。

酸素療法(在宅酸素)

呼吸機能が低下して酸素が足りなくなった場合、自宅で酸素を吸入する「在宅酸素療法」が導入されます。外出用の携帯酸素ボンベもあり、日常生活を支えるための大切な治療です。

肺移植(重症例)

進行が非常に速い場合や、薬物治療が効かない場合には、肺移植が唯一の根本的治療となることもあります。ただし、適応は限られており、専門施設での対応が必要です。

生活の工夫とサポート
  • 感染予防(風邪、インフルエンザ、肺炎を防ぐ
  • 定期的なワクチン接種(肺炎球菌、インフルエンザ
  • 禁煙
  • 栄養と体力の維持(過度な運動は避け、無理せず体を動かす

ご相談ください

間質性肺炎は、日々の体調変化に敏感になりながら、医師と一緒に進行を管理していく病気です。「息切れが増えてきた」「せきが長引く」などの症状がある方は、ぜひ早めにご相談ください。

当院では各種クレジットカード、およびPayPayでの決済が可能です。
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