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百日咳(ひゃくにちぜき)

症状

百日咳(ひゃくにちぜき)とは、「ボルデテラ・パータスシス」という細菌が原因で起こる感染症です。激しい咳が長期間(3か月ほど)続くのが特徴で、特に赤ちゃんや小さな子どもでは重症化しやすいため注意が必要です。

主な症状

百日咳は進行によって3つの段階に分けられます:

カタル期(感染から1〜2週間)
  • 風邪のような軽い症状:のどの痛み、鼻水、軽い咳
  • 熱はほとんど出ません
  • この時期は周囲にうつしやすいため注意が必要
痙咳期(けいがいき・2〜6週間)
  • 連続した激しい咳(発作性咳嗽)
  • 咳の後に息を吸うときに「ヒューッ」という笛のような音(吸気性笛声)が出ることがある
  • 咳が止まらず、顔が赤くなる、涙が出る、嘔吐することも
  • 特に夜間に悪化しやすく、睡眠不足や体力低下の原因になります
回復期(6〜12週間)
  • 咳の回数が徐々に減っていく
  • しかし、軽い刺激で再び咳がぶり返すこともあり、完全に咳が消えるまでには長い時間がかかります
どんな人がかかる?
  • 予防接種を受けていない乳児や小児
  • 免疫が弱まってきた中高生や大人
  • 家族や学校、職場での集団感染の原因にもなりうる
合併症に注意!

特に赤ちゃん(生後6か月未満)では、

  • 無呼吸発作(呼吸が止まる)
  • 肺炎
  • けいれん
  • 脳症

などの重い合併症を起こすことがあり、命にかかわることもあります。

検査、診断

百日咳の診断は、症状の特徴をもとに診察で疑い、必要に応じて検査で確定します。特に初期は風邪との区別が難しいため、発熱がないのに咳だけがどんどんひどくなる場合は注意が必要です。

1. 問診・診察

  • どのくらい咳が続いているか
  • 咳が発作のように連続するか
  • 咳のあとに「ヒューッ」という音が出るか
  • 吐き気や嘔吐があるか
  • ワクチンの接種歴、家族や周囲で似た症状の人がいるか

これらを丁寧に確認して、百日咳の可能性を考えます。

2. 血液検査

  • 白血球の中のリンパ球が多くなるのが特徴
  • 炎症の程度や、他の感染症との違いを調べる参考になります

3. 鼻咽頭ぬぐい液の検査(PCR法・培養)※当院では実施しておりません。

  • 鼻の奥の粘膜を綿棒でぬぐい、原因菌の遺伝子(PCR)や培養検査で確認します
  • 特に症状が出てから早い段階(2週間以内)に検査することが大切です

4. 百日咳抗体検査(血液)

  • 発症から2週間以上経った場合は、体内にできた抗体(IgA・IgG)を調べることで診断することがあります
  • ただし、過去のワクチンや感染との区別が難しい場合もあるため、診断は症状・経過と総合的に判断します

鑑別(まぎらわしい病気)

  • 咳喘息:長引く咳が主症状。喘鳴はあまりなく、抗生物質が効かない。
  • マイコプラズマ肺炎:咳が長引くが、吸気性笛声はまれ。
  • ウイルス性気管支炎:咳が出るが、短期間で改善しやすい。

百日咳は「症状が特徴的で、検査結果と合わせて診断する」病気です。咳が長く続くときは、早めの受診が大切です。

治療

百日咳の治療は、原因となる細菌をおさえる抗菌薬(抗生物質)と、咳のつらさをやわらげる対症療法が中心です。特に早い段階で抗菌薬を始めることで、症状の軽減と周囲への感染拡大を防ぐことができます。

抗菌薬(早期投与が大切)
  • マクロライド系抗菌薬(クラリスロマイシン、アジスロマイシン、エリスロマイシンなど)が第一選択
  • 治療の目安は5〜14日間
  • 発症から2〜3週間以内の投与で、咳の期間が短くなり、感染力が早く下がる

※発症から時間が経ちすぎると、菌は減っていても咳は残るため、抗菌薬は効きづらくなります(ただし他人への感染予防には有効)

咳への対症療法
  • 咳止め(鎮咳薬):使用には慎重さが必要(効果が弱く、副作用が心配な場合も)
  • 気管支拡張薬や吸入薬:ゼーゼーが強いときに使用されることもあります
  • 漢方薬(麦門冬湯など):長引く咳に用いることも
入院が必要なケース
  • 生後6か月未満の赤ちゃん
  • 無呼吸やけいれん、酸素が足りないとき
  • 家庭でのケアが難しいとき

入院では、酸素投与、点滴、痰の吸引などを行いながら経過をみます。

家庭でのケアと感染予防
  • しっかりと休養と水分補給を(咳で体力を消耗しやすい)
  • 咳がある間は登園・登校・出勤を控える
  • 家族にうつさないように、マスク・手洗いの徹底
予防接種(DPTワクチン)
  • 百日咳はワクチンで予防可能な感染症
  • 定期接種(DPT=ジフテリア・百日咳・破傷風)により、ほとんどの子どもは予防されています
  • ただし、ワクチンの効果は数年で弱くなるため、大人が再びかかることもあります

ご相談ください

百日咳は風邪と見分けがつきにくく、早期の治療が予防にもつながる感染症です。特に乳幼児では重症化するリスクが高いため、家族内の咳症状にも注意が必要です。

「咳が長引いている」「夜に発作のような咳が出る」「周囲で流行している」など、気になる症状がある場合は、お気軽にご相談ください。

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