症状

痛風（つうふう）とは、血液中の尿酸（にょうさん）という物質が増えすぎることによって、関節に炎症を起こす病気です。その原因となる状態が「高尿酸血症（こうにょうさんけっしょう）」です。

尿酸ってなに？

尿酸は、食べ物や体の中の細胞から出る「プリン体」という成分が分解されてできる老廃物です。ふつうは腎臓から尿にまざって外に出されますが、これがうまくいかないと血液中にたまっていきます。

高尿酸血症の定義

• 血液中の尿酸値が7.0mg/dL以上になると「高尿酸血症」と呼ばれます
• 尿酸が高くても症状が出ないことが多いですが、ある日突然、「痛風発作」が起こります

痛風発作の症状

• 足の親指のつけ根が突然腫れて、赤くなって、激しく痛む
• 夜中や朝方に突然痛みが始まることが多い
• 歩けないほどの強い痛みが数日～1週間続きます
• まれに足首、膝、手首など他の関節にも起こることがあります

痛風発作は、尿酸が関節にたまって結晶になり、それに免疫が反応して炎症を起こすことで起こります。

なりやすい人

• 食べすぎ・飲みすぎ（特に肉類、アルコール、甘いジュースなど）
• 肥満体型
• 運動不足
• ストレスが多い生活
• 腎臓の働きが弱っている
• 家族に痛風の人がいる（遺伝）

合併症のリスク

高尿酸血症を放置すると、痛風だけでなく、

• 尿路結石（尿酸の石ができる）
• 慢性腎臓病（腎機能の低下）
• 高血圧、脂質異常症、糖尿病との合併

といった、生活習慣病との関連も強くなります。

検査、診断

痛風や高尿酸血症は、血液検査で簡単に診断できます。また、合併症がないかを確認するための尿検査や画像検査も大切です。

1. 血液検査

• 尿酸値（UA）：7.0mg/dL以上で高尿酸血症と診断
• クレアチニン、eGFR：腎臓の機能が落ちていないか確認
• コレステロール・中性脂肪・血糖値・HbA1c：他の生活習慣病の有無をチェック

2. 尿検査

• 尿の中にどれくらい尿酸が出ているか（尿酸排泄型 or 産生過剰型を判断）
• 尿たんぱくや潜血が出ていると、腎臓への影響も疑います

3. レントゲン・超音波（エコー）

• 関節の腫れがあるときに、炎症の広がりや結晶の沈着を見る
• 腎臓や尿管に尿路結石がないか調べる

4. 発作時の特徴的な診察所見

• 赤く腫れて、熱をもった関節
• 発熱を伴うこともあり、「細菌感染」と間違われることがあります

健診で「尿酸値高め」と言われたら…

痛みがなくても、尿酸値が高い状態が続くと、関節や腎臓にダメージがたまっていきます。「まだ大丈夫」と思わず、早めに生活改善や治療を始めることが大切です。

治療

痛風や高尿酸血症の治療は、発作の時と、普段の予防とで考え方が異なります。どちらも大切で、「発作が治まったら終わり」ではありません。

痛風発作の治療（急性期）

• 炎症と痛みを抑える薬を使います

薬の種類	目的
NSAIDs（ロキソニンなど）	痛みと腫れを抑える
コルヒチン	白血球の働きを抑えて炎症を止める
ステロイド薬	重症時や他の薬が使えないとき

※発作の最中に尿酸を下げる薬を始めると逆に悪化することがあるため、発作が落ち着いてから予防薬を開始します。

尿酸を下げる薬（予防・長期治療）

発作が治まったあと、尿酸値を6.0mg/dL未満に保つことが治療の目標です。

薬の種類	働き
尿酸生成抑制薬（アロプリノール、フェブキソスタットなど）	尿酸が体内で作られるのを抑える
尿酸排泄促進薬（ベンズブロマロンなど）	尿から尿酸を出しやすくする

※体質によって使い分けます。副作用もあるため、定期的な血液検査で腎機能などを確認しながら使用します。

生活習慣の見直し（薬と同じくらい大切）

• プリン体の多い食品を控える
  • レバー、白子、魚卵、干物、アルコール（特にビール）など
• 水分を多くとる（1日2Lを目安）：尿酸を排出しやすくします
• 肥満の改善
• 運動（無理のない範囲で）
• ストレスをためない

薬を始めたらやめていいの？

• 痛みがなくても、薬は継続が必要です。自己判断でやめると、尿酸値が上がり再発のリスクが高まります。
• 尿酸値が安定してきたら、医師と相談して減量・中止を検討します。

ご相談ください

痛風や高尿酸血症は、一度発作が起きると非常に強い痛みを伴いますが、日頃の生活習慣と適切な薬で予防できる病気です。

「尿酸値が高いと言われた」「足のつけ根が急に腫れて痛い」「食事を見直したいけど何を減らせばいいの？」など、どんなことでもお気軽にご相談ください。