気胸(ききょう)
症状
気胸(ききょう)とは、肺に穴が開いて空気がもれてしまい、肺がしぼんでしまう病気です。本来、肺は胸の中で風船のようにふくらんでいますが、その肺から空気がもれて胸のすき間(胸腔:きょうくう)にたまると、肺が押しつぶされて縮んでしまいます。
突然起こることが多く、「自然気胸(しぜんききょう)」と呼ばれます。
典型的な症状は以下の通りです:
- 急に片方の胸が痛くなる
- 深呼吸や咳をすると胸がズキッと痛む
- 息がしにくい、息切れ
- 肩や背中まで痛みが広がることもある
- 呼吸音が小さくなる(聴診器で確認)
痛みや息苦しさの程度は、肺の縮み具合によって変わります。軽い気胸であればほとんど症状が出ないこともありますが、重度になると命に関わることもあるため注意が必要です。
気胸は特に、10代後半〜20代のやせ型の若い男性に多く見られます。このタイプは肺の表面にできた「ブラ(小さな袋)」という部分が破れて起こると考えられています。運動中や入浴中、何もしていないときでも突然起こることがあります。
また、肺の病気が原因で起こる気胸もあり、これを「続発性気胸」といいます。COPD、間質性肺炎、肺結核、非結核性抗酸菌症などの病気がある方に見られます。
まれに外傷(肋骨の骨折など)によって起きる「外傷性気胸」もあります。
検査、診断
気胸が疑われるとき、まず重要なのは胸部の診察と画像検査です。問診や身体所見とあわせて、肺がどれくらい縮んでいるか、原因となる病気がないかを調べます。
1. 問診と診察
- いつから痛みがあるか
- 痛みの場所や強さ、咳との関係
- 息苦しさの有無
- 過去に気胸を起こしたことがあるか
- 喫煙歴や基礎疾患の有無(COPD、結核歴など)
聴診器で肺の音を聞くと、気胸になっている側の音が小さくなっていることがあります。
2. 胸部レントゲン検査(X線)
最もよく行われる検査です。気胸があると、肺が縮んで、黒く見える空気のすき間(気腔)が写ります。このレントゲン写真で肺のしぼみ具合(虚脱率)をある程度判断できます。
3. 胸部CT検査
より詳しく調べたいときは胸部CT検査を行います。CTでは、レントゲンでは見えにくい小さな気腫やブラ、肺の病気の有無なども確認できます。再発リスクの評価にも役立ちます。
4. 血液検査・動脈血ガス検査
重症の場合、体の中の酸素や二酸化炭素のバランスが崩れてしまうことがあります。必要に応じてこれらを調べ、呼吸不全の有無を確認します。
気胸は、画像診断で確定される病気です。痛みや息苦しさがあっても、他の病気と区別がつきにくいこともあるため、胸部レントゲンやCT検査は非常に重要です。
治療
気胸の治療は、肺にたまった空気を減らして、しぼんだ肺を元に戻すことが目的です。症状や肺の縮み具合によって、「経過観察」「胸腔ドレナージ」「手術」など治療の方法が異なります。
軽度(肺のしぼみが少ない・症状が軽い)
- 安静にして経過を見る(自然治癒)
- 自然に肺がふくらんでくるのを待ちます
- 通院でレントゲンを撮りながら回復を確認します
※飛行機に乗るのは危険なため、完全に治るまでは控える必要があります。
中等度以上(肺が大きくしぼんでいる・息苦しい)
- 胸腔ドレナージ(きょうくうどれなーじ)
- 胸に細い管(チューブ)を入れて、もれた空気を外へ出す治療です
- しぼんだ肺が再びふくらむようにします
- 数日間の入院が必要になることがあります
繰り返す場合や治りにくい場合
- 手術(胸腔鏡手術)
- 繰り返す気胸では、再発防止のために手術を行うことがあります
- 肺の表面の「ブラ(風船のような袋)」を切除し、空気がもれにくくする処置をします
- 胸腔鏡というカメラを使った低侵襲手術(体への負担が少ない)で、回復も早めです
基礎疾患がある場合
COPDや間質性肺炎など、もともとの肺の病気が原因で気胸が起きている場合は、その病気の治療も同時に行う必要があります。高齢者や肺機能が弱い人では、酸素療法が必要になることもあります。
日常生活での注意点:
- 禁煙が重要です:タバコは肺にダメージを与え、気胸の再発リスクを高めます
- 激しい運動・力む動作・楽器の演奏などは、再発防止のために医師の許可が出るまでは控えましょう
- 飛行機や登山などの気圧差のある場所には注意が必要です
ご相談ください
気胸は再発しやすい病気ですが、きちんと治療すれば回復可能です。「突然の胸の痛み」「息苦しさ」などがあれば、無理をせず早めに受診しましょう。
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