感冒(かんぼう)・風邪症候群
症状
感冒(かんぼう)とは、一般に「風邪(かぜ)」と呼ばれるもので、ウイルスが鼻やのど、気道に感染して起こる軽い炎症の病気です。正式には「風邪症候群(ふうじゃしょうこうぐん)」とも言い、原因となるウイルスは200種類以上あります。
主な症状
- のどの痛み・違和感
- 鼻水・鼻づまり
- くしゃみ
- 咳(せき)、痰(たん)
- 発熱(微熱〜38℃台が多い)
- 頭痛、だるさ(倦怠感)
- 筋肉痛、寒気、関節の痛み
これらの症状は、ウイルスに感染した場所によって異なります。
- 鼻に強く出るタイプ:鼻水・くしゃみが中心(鼻かぜ)
- のどに強く出るタイプ:のどの痛み・声がれ(咽頭炎、喉頭炎)
- 気管支に強く出るタイプ:咳や痰(気管支炎)
多くの場合、数日〜1週間ほどで自然に回復します。
風邪の原因ウイルス(一部)
- ライノウイルス(最も多い)
- コロナウイルス(一般的な風邪の一因)
- アデノウイルス(咽頭結膜熱など)
- RSウイルス(乳幼児で重症化することも)
- インフルエンザウイルス(重症化しやすいため区別が必要)
風邪とインフルエンザの違い
- 風邪(感冒):症状は軽く、ゆっくり始まる。のどの痛みや鼻水が主。
- インフルエンザ:突然の高熱、全身の痛み、強いだるさが特徴。
注意が必要な症状
- 高熱が3日以上続く
- 息苦しさがある
- ぐったりしている、食事・水分がとれない
- 呼吸音がゼーゼーしている
- 長引く咳(2週間以上)
これらは肺炎やインフルエンザ、コロナ、気管支喘息など他の病気の可能性もあるため、医療機関の受診が必要です。
検査、診断
感冒(風邪症候群)の診断は、基本的には症状の聞き取りと診察だけで可能です。多くのケースで、追加の検査をしなくても診断できるため、患者さんの体に負担の少ない病気です。
1. 問診と診察
- どんな症状があるか(のどの痛み、鼻水、咳など)
- いつから症状が出たか
- 熱はあるか、最高体温は何度か
- 周囲で風邪やインフルエンザが流行しているか
- ワクチン接種の有無
- 持病やアレルギーがあるか
こうした情報と、のど・鼻・胸の音の診察、体温の測定などを組み合わせて診断します。
2. 必要に応じて行う検査
- インフルエンザ検査:急に高熱が出た場合、鼻の奥をぬぐってウイルスの有無を調べます。発症から12時間以上経ってからの検査が正確です。
- 新型コロナウイルス検査(抗原・PCR):発熱やのどの痛みがある場合に行われることがあります。
- 血液検査(CRP・白血球):重症の感染症や肺炎が疑われる場合に行います。
- 胸部レントゲン:咳が長引いたり、肺炎が疑われるときに必要です。
風邪とまぎらわしい病気
- インフルエンザ
- 溶連菌感染症(強いのどの痛みと高熱)
- マイコプラズマ肺炎(しつこい咳)
- 急性副鼻腔炎、扁桃炎
- 気管支炎、肺炎
これらと区別するために、必要に応じて検査を追加します。
治療
風邪(感冒)のほとんどはウイルスが原因のため、特効薬(ウイルスを殺す薬)はありません。そのため、自然に治るまでの間、症状をやわらげる「対症療法」が中心になります。
基本の治療:休養と水分
- 無理せず安静にする
- 水分をしっかりとる(お茶、スープ、経口補水液など)
- 栄養のある食事をとる(食欲がないときは消化のよいもの)
薬による症状のコントロール
症状に応じて以下の薬を使います:
- 解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど):発熱・頭痛・関節痛に
- 咳止め・去痰薬:咳や痰がつらい場合に
- 抗ヒスタミン薬:くしゃみ・鼻水を抑える
- 漢方薬:体質や症状に応じて選びます(葛根湯、小青竜湯など)
※抗菌薬(抗生物質)は、ウイルス性の風邪には効果がないため、基本的には使いません。ただし、細菌の感染が加わった場合(中耳炎、副鼻腔炎、扁桃炎など)には必要となることもあります。
予防と日常の工夫
- 手洗い・うがいの徹底(外出後・食事前)
- マスク着用(飛沫の拡散と吸い込み予防)
- 部屋の加湿と換気
- 栄養と睡眠で免疫力を保つ
風邪の予防には、基本的な生活習慣の見直しが何よりも効果的です。
ご相談ください
風邪は多くの人がかかる身近な病気ですが、まぎらわしい重い病気が隠れていることもあります。「ただの風邪」と思って放っておくのではなく、「いつもと違う」「長引いている」など気になることがあれば、早めに医療機関にご相談ください。
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