アトピー咳嗽
症状
アトピー咳嗽(あとぴーがいそう)は、長く続く乾いた咳(からせき)が主な症状の病気です。名前に「アトピー」とあるように、アレルギー体質が関係していることが多く、花粉症やアトピー性皮膚炎、気管支喘息の家族歴がある方に多く見られます。
この病気の特徴は、風邪は治ったのに咳だけがずっと続くという点です。咳喘息とよく似ていますが、アトピー咳嗽ではヒューヒュー・ゼーゼーという音や、息苦しさは見られません。あくまで「乾いた咳」だけが出続けます。
以下のような特徴があります:
- せきが1か月以上続く(特に夜間や朝方に出やすい)
- 痰はほとんど出ない
- 冷たい空気や会話・運動などでせき込む
- 咳止めの薬や風邪薬が効かない
- アレルギー体質がある(花粉症・アトピー性皮膚炎など)
アトピー咳嗽は、子どもから大人まで幅広く見られる病気で、「最近ずっとせきが続いている」「レントゲンも異常ないのに治らない」というときに疑われます。
重要なのは、アトピー咳嗽も放置すると、気管支喘息に進行することがあるという点です。早めの対応で悪化を防ぐことが大切です。
検査、診断
アトピー咳嗽は、咳以外に目立った症状がないため、かぜや咳喘息、後鼻漏(こうびろう)など他の病気と区別が難しいことがあります。診断の第一歩は、詳しい問診(もんしん)です。
<院長ブログ:アレルギー検査のいろいろ>
問診では次の点を確認します:
- 咳の期間とタイミング(夜間・朝方など)
- 痰の有無(基本的には乾いた咳)
- どんな薬を使ったか、効果があったか
- アレルギー体質の有無(花粉症・アトピー性皮膚炎など)
- 家族に喘息やアレルギーの人がいるか
続いて、以下のような検査を行って診断を補強します。
- 呼吸機能検査(スパイロメトリー)
アトピー咳嗽では、多くの場合、肺機能には異常がありません。これにより、喘息との違いを判断する参考になります。 - 呼気一酸化窒素(FeNO)検査
気道の炎症があると上昇しますが、アトピー咳嗽ではあまり高くならないことも多いです。喘息との区別に使われます。 - 血液検査(好酸球・IgE・アレルゲン特異抗体)
血液中の好酸球(こうさんきゅう)という細胞の数や、IgEというアレルギー反応に関係する物質の量を調べます。アレルギー体質があるとこれらの値が高くなっていることがあります。 - アレルギー検査(RASTなど)
ダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛などに反応していないかを調べます。
アトピー咳嗽は、「この検査だけで診断できる」というものではありません。症状、アレルギー体質、検査の結果などを総合的に判断して診断されます。また、治療薬を使って咳が良くなるかを見て診断する「診断的治療」も役立ちます。
治療
アトピー咳嗽の治療では、気道のアレルギー性炎症を抑えることが目的です。風邪薬や咳止めでは効果が乏しいため、アレルギーに対する治療が中心になります。
まず使われるのは以下のような薬です:
抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬・抗ロイコトリエン薬)
アレルギー反応を抑える薬で、体の中の炎症をおさえ、咳を軽くします。飲み薬として処方されることが多く、数日〜1週間ほどで効果が見られることがあります。
吸入ステロイド薬(ICS)
気道のアレルギー性炎症をおさえるために使います。喘息ほど強い炎症ではありませんが、症状が強いときには有効です。吸入薬は直接気管支に薬を届けられるため、副作用も少なく安全に使えます。
その他
場合によっては、去痰薬や咳止め薬を補助的に使うこともあります。
治療期間は症状によって異なりますが、1か月程度でよくなることもあれば、数か月間の継続が必要な場合もあります。
また、アトピー咳嗽は再発しやすい病気です。季節の変わり目、花粉の時期、風邪を引いたあとなどに、再び咳が出てくることもあります。そのため、治療後も体調管理や予防がとても大切です。
予防・生活上の工夫としては:
- タバコの煙を避ける(受動喫煙も含む)
- 寝室や布団のダニ・ハウスダスト対策
- 空気清浄機や加湿器の活用
- 花粉の多い時期は外出時にマスクを使う
- アレルギーのある食品や環境に注意する
ご相談ください
「かぜの後に咳が長引く」「市販薬で治らない咳が続く」などの場合は、アトピー咳嗽の可能性があります。咳が続いてお困りの方は、早めにご相談ください。
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