花粉症
症状
花粉症(かふんしょう)とは、植物の花粉が原因で、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみなどが起こるアレルギー反応です。正式には「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれています。
原因となる花粉はさまざまで、時期によって症状が出る植物が異なります。
- スギ花粉:2月〜4月(最も多い)
- ヒノキ花粉:3月〜5月
- イネ科花粉:5月〜7月
- ブタクサ・ヨモギ:8月〜10月
日本では特にスギ花粉症が多く、成人の約40%が何らかの花粉症を持っていると言われています。年齢に関係なく発症し、子どもでも増えてきています。
花粉症の主な症状は以下の通りです:
- くしゃみが連続して出る
- 水のような鼻水が止まらない
- 鼻づまりで息がしにくい
- 目のかゆみ、涙が出る
- のどのかゆみ、耳のかゆみ
- 集中力の低下、頭がボーっとする
- 肌荒れや顔のかゆみ(皮膚症状)
症状が強いと、夜に眠れなかったり、日中の集中力が落ちたりして、学業や仕事に支障をきたすこともあります。
さらに、アレルギー性喘息やアトピー性皮膚炎の悪化要因にもなるため、早めに対処することが大切です。
検査、診断
花粉症の診断は、症状の時期や特徴からおおよそ予測がつくことが多いですが、正確に原因となる花粉を特定するためには、アレルギー検査が役立ちます。
1. 問診
まずは詳しくお話をお聞きします:
- 症状が出る時期(春・秋など)
- どんな症状が出るか(くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど)
- ご家族にアレルギー体質の方がいるか
- 以前にアレルギー検査を受けたことがあるか
2. 血液検査(アレルゲン特異的IgE)
アレルギーの原因(アレルゲン)となる物質に対して、体の中にどれだけIgE抗体が作られているかを調べる検査です。
スギ・ヒノキ・ブタクサ・ハウスダストなど、複数の項目を一度に調べることができます。
検査結果は1週間ほどで分かり、数値に応じて、原因となる花粉や重症度の参考になります。
3. 鼻汁好酸球検査(必要に応じて)
鼻水を採取して、アレルギー反応に関係する「好酸球(こうさんきゅう)」という白血球の一種が増えているかを調べます。アレルギー性かどうかの判断に役立ちます。
4. 皮膚プリックテスト(専門機関で)
皮膚にアレルゲンを少量たらして、反応を見る検査です。即時反応を見るため、より感度が高い検査として使われることがあります。
アレルギーの原因が明確になると、予防や治療の方針を立てやすくなります。「春になると毎年つらい」「市販薬が効かない」などでお悩みの方は、一度検査をおすすめします。
治療
花粉症の治療は、症状を抑える対症療法と、体質を改善する根本的な治療の2つに分けられます。
薬による治療(対症療法)
花粉の飛散時期に合わせて、症状を和らげるための薬を使用します。
- 抗ヒスタミン薬(内服薬)
くしゃみ・鼻水・目のかゆみに効果的。眠くなりにくいタイプの薬も増えています。 - 点鼻薬(鼻スプレー)
鼻づまりがひどい場合に有効。ステロイド入りのものは炎症をしっかり抑えます。 - 点眼薬(目薬)
目のかゆみ・充血に使います。内服薬との併用も可能です。 - 漢方薬
体質や症状に応じて補助的に使用されることがあります。
※症状が出る前から薬を始める「初期療法」もおすすめです(飛散の2週間前から)。
アレルゲン免疫療法(舌下免疫療法)
体質そのものを改善する治療法で、スギやダニに対して効果が認められています。スギ花粉エキスを毎日少量ずつ舌の下に投与し、体を慣らしていく方法です。
- 治療は3〜5年継続が必要
- 根本的に花粉症が治る可能性がある
- 重症の方、市販薬が効かない方におすすめ
- 対象はスギ・ダニのみ(2025年現在)
※現在は薬剤(特に治療開始時の薬剤)の供給が全国的に滞っております。新規の開始はできない状況ですが、他院での治療を継続することは可能ですので、ご相談ください。
日常生活での対策
- 花粉の多い日は外出を控える、マスク・メガネを使用
- 帰宅後は服を払ってから入る、洗顔・うがい
- 洗濯物はできれば部屋干し
- 空気清浄機や加湿器の活用
- 規則正しい生活で免疫バランスを整える
ご相談ください
花粉症は命にかかわる病気ではありませんが、生活の質(QOL)を大きく下げる疾患です。毎年のつらさを「仕方ない」とあきらめず、自分に合った治療と予防で快適な春を過ごしましょう。