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胃炎(いえん)

症状

胃炎(いえん)とは、胃の粘膜に炎症が起きた状態をいいます。胃は、食べた物を消化するために強い胃酸を出していますが、その胃酸から自分の胃を守るために、表面には「粘膜(ねんまく)」というバリアがあります。この粘膜が傷ついたり弱くなったりすると、炎症が起こり、「胃炎」になります。

胃炎の主な種類
  • 急性胃炎:突然起こる胃の炎症。食べすぎ、飲みすぎ、ストレス、薬(痛み止めなど)などが原因。
  • 慢性胃炎:長い期間にわたって胃の粘膜に炎症が続く状態。多くの場合、ピロリ菌の感染が関係しています。
主な症状
  • みぞおちの痛み、重さ
  • 胃もたれ、食欲不振
  • 吐き気、嘔吐
  • げっぷ、胸やけ
  • 空腹時や食後の鈍い痛み
  • お腹の張りや不快感

急性胃炎では、症状が突然あらわれることが多く、食事やストレスのあとに「キリキリ」「ムカムカ」すると感じることがあります。場合によっては、胃から出血して黒っぽい便(タール便)や吐血を伴うこともあります。

慢性胃炎は、症状が軽かったり、ないまま進行することもありますが、長期間続くと胃の粘膜が萎縮(胃の表面がやせてしまう)して、胃がんのリスクが高まることがあります。

検査、診断

胃炎が疑われる場合には、まず症状の聞き取り(問診)をしっかり行い、そのうえで必要に応じて胃カメラ(内視鏡検査)や血液検査、ピロリ菌検査などを行います。

1. 問診・視診・触診

  • いつから症状があるか
  • 痛みの部位やタイミング(空腹時?食後?)
  • 飲酒・喫煙・ストレス・薬の服用状況
  • 過去に胃の病気をしたことがあるか

これらを確認し、胃炎の可能性や原因を推測します。

2. 胃カメラ検査(上部消化管内視鏡)

最も重要な検査で、口や鼻から細いカメラを入れて、胃の中を直接観察します。

  • 粘膜の赤み、ただれ、びらん、出血の有無
  • ピロリ菌による萎縮や胃がんの前兆の有無
  • 必要に応じて組織を少し取って(生検)、がんや感染症のチェック

※鼻からの内視鏡(経鼻内視鏡)なら、吐き気が少なく検査が楽に受けられます。

3. ピロリ菌の検査

慢性胃炎の原因となるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)に感染しているかを調べます。以下の方法があります:

  • 尿素呼気試験(ゆうそこきしけん):息を調べる、簡単で苦痛の少ない検査
  • 血液・尿・便での抗体検査
  • 内視鏡時の組織検査(迅速ウレアーゼ試験など)

ピロリ菌陽性であれば、除菌治療を行うことで慢性胃炎の進行や胃がんリスクを減らすことができます。

4. 血液検査

  • 炎症の程度、貧血の有無、栄養状態などを確認
  • ピロリ菌感染が長期化すると鉄欠乏性貧血ビタミンB12不足を起こすことも

胃炎の診断には、胃カメラでの観察が最も確実であり、「胃がん」や「胃潰瘍」などの重大な病気との区別もつけることができます。症状が続く方は早めの検査が安心です。

治療

胃炎の治療は、原因に応じた薬物療法と、生活習慣の見直しが中心です。症状の程度やピロリ菌の有無、急性か慢性かなどをふまえて、患者さんに合わせた治療法を選びます。

薬物療法
  • 胃酸を抑える薬(PPI、H2ブロッカー)
     胃酸の出すぎを抑えて、炎症をしずめます。多くの胃炎に有効。
  • 胃粘膜を保護する薬(アルジオキサ、レバミピドなど)
     胃の表面にバリアをつくって修復を助けます。
  • 制吐薬(吐き気止め):つらい症状があるときに使用。
  • ピロリ菌除菌療法(陽性だった場合)
     抗生物質と胃酸を抑える薬を1週間内服。成功率は高く、再感染は少ないです。
生活習慣の改善
  • 暴飲暴食を避ける
  • 刺激の強いもの(辛い物、コーヒー、アルコール)の制限
  • 食事は規則正しく、ゆっくりよく噛んで
  • 寝る前の飲食は控える
  • ストレスや睡眠不足に注意

これらを守ることで、胃にかかる負担を減らし、再発を防ぐことができます。

慢性胃炎の注意点
  • ピロリ菌による慢性胃炎は、無症状でも進行し、胃がんのリスクになることがあるため、除菌後も定期的な胃カメラ検査が大切です。
  • 高齢者では「萎縮性胃炎」により、ビタミン不足や貧血が起こることもあるため、栄養状態のチェックも必要です。

ご相談ください

胃炎は多くの場合、きちんと治療すれば改善可能な病気です。ただし、放置すると潰瘍やがんへ進行することもあるため、「胃が重い」「痛む」「食欲がない」などの症状が続く方は、早めに医療機関を受診しましょう。

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