痰
痰とは?
痰(たん)は、のどや気管、肺などの空気の通り道(気道)から出てくる粘り気のある液体です。健康な人でも少量の痰は毎日作られており、体の中のホコリや細菌を外に出す役割を果たしています。ふだんは知らないうちに飲み込んでいるため、あまり意識することはありません。
しかし、風邪をひいたときや気管支に炎症があると、痰の量が増えたり、色や性質が変わったりして、「痰がからむ」「痰が切れない」といった症状が現れます。
痰にはいくつかの種類があります。
- 透明な痰:水っぽく、風邪の初期やアレルギーでよく見られます。
- 白くねばついた痰:風邪や気管支炎のときによく出ます。
- 黄色や緑の痰:細菌感染が関係していることが多く、肺炎や副鼻腔炎などで見られます。
- 血が混じった痰(血痰):のどや気管の炎症、または肺の病気(肺がん、結核など)の可能性があります。注意が必要です。
- 泡立った痰:心臓の病気で肺に水がたまっているときなどに見られることがあります。
痰は体からの大切なサインです。色や量、においなどの変化がある場合や、長く続くときは、病院で調べてもらうことが大切です。
痰の検査
痰の症状があるとき、原因を調べるためにいくつかの検査を行うことがあります。
【1】問診
まず医師は、「いつから痰が出るのか」「どんな色や形か」「血は混じっていないか」「熱やせきはあるか」などを詳しく聞きます。この情報だけでも、おおよその原因を推測できます。
【2】胸部レントゲン検査
肺や気管の異常を調べるために、胸のレントゲンを撮ります。肺炎、気管支炎、肺がんなどの病気が隠れていないかをチェックします。
【3】喀痰(かくたん)検査
実際に出てきた痰をコップのような容器に集め、顕微鏡で細菌やウイルス、白血球、がん細胞などを調べます。以下のような検査があります:
- 細菌検査:どんな細菌がいるかを調べ、抗生物質の効果を予測します。
- 結核菌検査:結核を疑うときに行います。
- がん細胞検査:肺がんが疑われるときに、痰にがん細胞が含まれていないかを調べます。
【4】血液検査
炎症の程度やアレルギーの有無を調べるために、血液検査を行うこともあります。
【5】呼吸機能検査(スパイロメトリー)
慢性的に痰が出る人には、肺の働きを調べる検査が行われることがあります。ぜんそくやCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の有無を確認します。
これらの検査を通じて、痰の原因を正しくつきとめ、適切な治療につなげていきます。
痰の治療
痰の治療は、原因となる病気にあわせて行います。痰そのものを取り除くだけでなく、元の病気をしっかり治すことが大切です。
【1】風邪やウイルス感染の場合
痰が出る風邪の場合、原因はウイルスなので、基本的には自然に治ります。ただし、症状を楽にするために、痰を出しやすくする薬(去痰薬)やのどの炎症を抑える薬を使うことがあります。
【2】細菌感染が原因の場合(例:肺炎、気管支炎)
痰が黄色や緑で、熱やせきが強いときは、細菌感染の可能性があります。その場合は抗生物質を使って原因の菌を退治します。抗生物質の種類は、痰の検査結果などをもとに決められます。
【3】アレルギーやぜんそくが原因の場合
アレルギー体質や気管支ぜんそくで痰が出るときは、吸入薬(吸入ステロイド)や抗アレルギー薬を使って気道の炎症を抑える治療をします。
【4】慢性閉塞性肺疾患(COPD)の場合
長期間痰が続く場合、喫煙が関係する肺の病気(COPD)のことがあります。禁煙が最も重要で、合わせて吸入薬や去痰薬などで症状をコントロールします。
【5】結核や肺がんの場合
結核や肺がんが原因で痰が出ている場合は、専門的な治療が必要です。結核では抗結核薬を何か月も飲む治療、肺がんでは手術や薬物治療が行われます。
【6】生活の中でできること
- 水分をしっかりとる:痰をやわらかくして出しやすくします。
- 加湿する:部屋が乾燥していると痰が固まりやすいので、加湿器などで湿度を保ちましょう。
- 深呼吸や軽い運動:肺の働きを高めることで、痰を外に出しやすくします。
ご相談ください
痰は体を守るために出てくるものですが、長く続いたり、色が変だったり、血が混じるようなときは早めに受診することが大切です。原因がわかれば、しっかりとした治療ができるので安心です。
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