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副鼻腔気管支症候群

症状

副鼻腔気管支症候群(SBS:Sinobronchial Syndrome)は、鼻の奥の「副鼻腔(ふくびくう)」と、肺へ空気を運ぶ「気管支(きかんし)」の両方に炎症が起きている状態をいいます。

この病気の特徴は、鼻と肺の症状が同時に起こることです。具体的には、副鼻腔炎(ふくびくうえん)と気管支炎や慢性咳嗽(まんせいがいそう)が一緒に現れ、次のような症状がみられます:

  • 鼻づまりや黄色っぽい鼻水
  • 鼻の奥からのどに落ちてくる後鼻漏(こうびろう)
  • 痰をともなうせき(特に朝に多い)
  • 咳が数週間~数か月以上も続く
  • 胸のゼロゼロした感じ
  • のどに痰がからむ違和感
  • 熱は出にくいが、だるさを感じることがある

咳や痰の症状が続くのに、風邪薬や咳止めを使ってもなかなか良くならない場合、この副鼻腔気管支症候群の可能性があります。特にアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎を持っている方は、この症候群を起こしやすいと言われています。

副鼻腔と気管支は、つながっているわけではありませんが、どちらも「呼吸器」であり、炎症を引き起こす細菌やアレルギー、粘液(ねんえき)の性質などが関係して、同時に症状が出ることがあります

この病気は、気管支喘息に進行することもあるため、長引くせきや鼻の症状が続いている場合には、早めの診断と治療が重要です。

検査、診断

副鼻腔気管支症候群の診断では、鼻と気管支の両方をしっかり調べることがポイントです。症状が長引いていても、肺のレントゲンでは異常が出ないこともあるため、詳細な問診といくつかの検査を組み合わせて診断します。

問診と視診

まずは、次のような点を確認します:

  • せきはいつから続いているか
  • 鼻水や後鼻漏があるか
  • 朝方に痰が多いか
  • どんな薬を使ってきたか
  • アレルギーや喘息の家族歴があるか

問診に加えて、鼻の奥を観察する検査(鼻鏡や内視鏡)を行い、慢性的な副鼻腔炎の有無を確認します。のどに流れている鼻水が見えることもあります。

胸部レントゲン・CT

胸のレントゲンでは、気管支炎や肺炎の有無を確認しますが、はっきりした異常が出ないこともあります。より詳しく調べたい場合には胸部CT検査を行うことがあります。

副鼻腔のCT検査

副鼻腔にたまった膿(うみ)や粘液、炎症の広がりを調べます。慢性副鼻腔炎があるかどうかを正確に確認できます。

血液検査

白血球の数やアレルギーに関連する値(好酸球、IgEなど)を確認します。アレルギー体質が関係していることも多く、これらのデータは治療方針の参考になります。

呼吸機能検査(スパイロメトリー)

せきや痰が続いている場合、気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)との鑑別も必要です。呼吸機能検査で空気の出しにくさがないかを確認します。

これらの検査を組み合わせて、副鼻腔と気管支の両方に炎症があると判断された場合、「副鼻腔気管支症候群」と診断されます。

治療

副鼻腔気管支症候群の治療では、鼻と気管支の両方にアプローチすることが大切です。どちらか一方だけを治療しても、症状はなかなか改善しません。

主な治療内容は以下の通りです:

  • マクロライド系抗菌薬(少量長期療法)
     この病気の中心的な治療は、「マクロライド系抗菌薬を少量で長く使う治療法」です。たとえばクラリスロマイシン(クラリス)などを1日1〜2回、数週間から数か月続けて使います。
     この薬は、細菌を殺すだけでなく、炎症を抑えたり、気道の粘液(痰や鼻水)をサラサラにする効果もあります。
  • 去痰薬・気道粘液調整薬
     痰や後鼻漏をやわらかくして、体の外に出しやすくする薬です。特に朝方の痰が多い方に効果的です。
  • アレルギー治療(抗ヒスタミン薬・点鼻薬)
     アレルギー性鼻炎が関与している場合、抗アレルギー薬やステロイド点鼻薬を使って、鼻の炎症をおさえます。これにより、後鼻漏が軽くなり、気管支への影響も減ります。
  • 鼻の洗浄・ネブライザー
     副鼻腔にたまった鼻水を洗い流すため、鼻うがいや、鼻やのどに薬を噴霧するネブライザー治療が有効な場合もあります。
  • 生活習慣の工夫
    • 乾燥を防ぐ(加湿器の使用やこまめな水分補給)
    • タバコやほこりを避ける
    • 鼻の清潔を保つ(鼻洗浄など)

これらの治療を組み合わせて行うことで、せきや鼻水、後鼻漏といった症状が徐々に軽くなっていきます。ただし、完治までに時間がかかることもあり、医師と相談しながら気長に治療を続けることが大切です。

ご相談ください

「風邪が治ったのに咳が続く」「鼻も気になるけど、咳も多い」――そんな症状が続く方は、副鼻腔気管支症候群の可能性があります。早めの診断と適切な治療で、症状の改善が期待できます。お気軽にご相談ください。

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