アレルギー性皮膚炎
症状
アレルギー性皮膚炎は、アレルギー反応によって皮膚に炎症が起きる病気です。体が「異物」と認識した物質に対して過敏に反応し、皮膚が赤くなったり、かゆみや湿疹が出たりします。
原因や症状の現れ方にはいくつかのタイプがあります:
接触性皮膚炎(せっしょくせいひふえん)
特定の物質が皮膚に触れることで起こります。たとえば、
- 金属(アクセサリー、ベルトのバックルなど)
- ゴム製品(手袋など)
- 化粧品、シャンプー
- 植物(うるし、草花)
触れた部分だけに赤み、かゆみ、水ぶくれなどの症状が出ます。
アトピー性皮膚炎(あとぴーせいひふえん)
乳幼児から大人まで幅広く見られる慢性的な皮膚のアレルギー疾患です。アトピー素因(アレルギー体質)がある人に多く、
- くり返す湿疹(赤み・かゆみ)
- 肌がカサカサしやすい
- 首・ひじ・ひざの裏などに左右対称に出やすい
などが特徴です。
じんましん型
食べ物や薬、冷気・汗などが原因で急に皮膚が赤くふくらみ、かゆみが出て数時間で消えるタイプもあります(じんましん)。
いずれのタイプも、かゆみをがまんできずにかいてしまうと悪化するため、早期の治療と正しいスキンケアが大切です。また、アレルギー性鼻炎や喘息など、ほかのアレルギー疾患と併発することもあります。
検査、診断
アレルギー性皮膚炎の診断では、まず問診と視診(皮膚の状態をみる)が基本です。そのうえで、必要に応じてアレルギーの原因(アレルゲン)を特定する検査を行います。
1. 問診
- どこに、いつから症状が出たか
- かゆみはあるか
- どんな物に触れたか(アクセサリー、化粧品など)
- 食べ物、薬、動物などとの接触
- 家族にアレルギー体質があるか
これらをもとに、どのタイプのアレルギー性皮膚炎かを推測します。
2. 血液検査(特異的IgE検査)
血液中のアレルギーに関わるIgE抗体の値を調べることで、原因となる物質を特定できます。
- 食べ物(卵、牛乳、小麦、エビ、そばなど)
- ダニ、ハウスダスト、花粉
- ペットの毛、カビ など
数十項目を一度に調べられるパネル検査もあります。
3. パッチテスト(貼付試験)
接触性皮膚炎の疑いがあるときに行います。原因と考えられる物質を絆創膏にしみこませて背中などに貼り、48時間後・72時間後に皮膚の反応を見る方法です。金属アレルギーや化粧品アレルギーの診断に有効です。
4. プリックテスト(皮膚テスト)
即時型アレルギー(じんましんなど)が疑われるときに使われます。皮膚にアレルゲンを少量つけて針で軽く刺し、反応を確認します。食物アレルギーや薬剤アレルギーの診断補助にもなります。
皮膚炎の原因がアレルギーであるかどうか、そして何に対してアレルギーがあるのかを明らかにすることで、生活上の対策や治療方針が立てやすくなります。
治療
アレルギー性皮膚炎の治療は、炎症をしずめてかゆみを抑えることと、再発を防ぐことが目的です。症状の重さや原因に応じて、外用薬(ぬり薬)、内服薬、スキンケア、生活指導を組み合わせて治療します。
外用薬(ぬり薬)
- ステロイド外用薬
炎症をしっかりおさえる効果があります。症状の強さに応じて強さを使い分けます。 - 非ステロイド薬(タクロリムス軟膏など)
ステロイドを使いたくない部位(顔など)や、長期管理に使われます。 - 保湿剤(ヘパリン類似物質など)
肌のバリア機能を守るために、毎日のスキンケアとして使用します。乾燥を防ぐことが再発予防に非常に大切です。
内服薬(飲み薬)
- 抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬
かゆみをおさえる目的で使用されます。眠気が出にくいタイプもあります。 - ステロイド内服薬
重症で一時的に全身の炎症を抑える必要がある場合に短期間使うことがあります。
生活指導・環境整備
- 原因物質の回避(金属、ゴム、ハウスダストなど)
- 肌をこすらない、かきむしらない
- ストレスや寝不足も悪化因子なので生活リズムの見直し
- 肌に優しい衣服や石けんの使用
特にアトピー性皮膚炎では、「悪くなったら薬」ではなく、良い状態を保つ「プロアクティブ療法」が推奨されています。
アレルゲン免疫療法(一部)
スギやダニによるアトピー性皮膚炎が疑われる場合、舌下免疫療法で体質改善が期待できるケースもあります(症状が強い方はご相談ください)。
ご相談ください
アレルギー性皮膚炎はくり返しやすい病気ですが、正しく付き合えばコントロール可能です。「かゆくて眠れない」「薬を塗ってもすぐぶり返す」など、お困りの方はぜひ一度ご相談ください。