胃潰瘍とは?症状・原因・治療法を内科医がわかりやすく解説
「みぞおちがズキズキ痛む」「空腹になると胃が痛い」「胃薬を飲んでも痛みが繰り返す」――そのような症状が続いている場合、胃潰瘍の可能性があります。
胃潰瘍は、胃の粘膜が傷つき、深いところまで欠損した状態です。日本では年間約30万人が新たに診断されており、決して珍しい病気ではありません。原因の大半はピロリ菌感染または鎮痛剤の服用で、適切に治療すれば多くの場合は治癒します。
この記事では、胃潰瘍の症状・原因から、胃カメラやピロリ菌検査の流れ、治療法と再発予防まで、関内サンドウ内科医院の医師が詳しく解説します。
当院では経鼻内視鏡(胃カメラ)に対応しています
鼻から挿入する細径の内視鏡で、できるだけ苦痛を抑えた検査を行っています。みぞおちの痛みや胃の不調が続く場合は、当院の消化器科へご相談ください。
胃潰瘍の代表的な症状と痛みの特徴
食後のみぞおちの痛みや不快感
胃潰瘍の最も典型的な症状は、みぞおち(上腹部の中央)の痛みや不快感です。鈍い痛み・焼けるような感覚・圧迫感など、人によって感じ方はさまざまです。
胃潰瘍では食後30分から1時間ごろに痛みが出やすいのが特徴です。これは食事によって胃酸の分泌が増え、潰瘍部分が刺激されるためです。
他に見られる症状としては以下が挙げられます。
- 胸やけ・げっぷ・吐き気
- 食欲不振・食後の膨満感
- 体重の減少
症状が軽い場合や慢性的に続く場合は「なんとなく胃が重い」「胃もたれが続く」程度にしか感じない方も多く、胃もたれとの違いがわかりにくいこともあります。胃もたれとの違いや対処法については当院の胃もたれブログ記事もあわせてご参照ください。
十二指腸潰瘍との違いを比較
胃潰瘍と混同されやすいのが十二指腸潰瘍です。どちらも消化性潰瘍と総称されますが、痛みが出るタイミングに違いがあります。
| 比較項目 | 胃潰瘍 | 十二指腸潰瘍 |
|---|---|---|
| 痛みのタイミング | 食後30分〜1時間 | 空腹時・夜間 |
| 年齢層 | 中高年に多い | 比較的若年層に多い |
| ピロリ菌との関連 | 高い | 高い |
十二指腸潰瘍は空腹時や夜中に痛みが出やすく、食事をとると一時的に和らぐことがあります。どちらも胃カメラで診断可能です。
早急な受診が必要な危険なサイン
以下の症状が現れた場合は、緊急性が高い状態(出血・穿孔)が起きている可能性があります。すぐに医療機関を受診してください。
| 吐血・コーヒー残渣様の嘔吐 | 赤い血や、コーヒーかすのような茶褐色の嘔吐物が出る場合、潰瘍からの出血が疑われます。 |
|---|---|
| 黒い便(タール便) | 便が黒くドロっとした状態になる場合、胃や十二指腸からの出血が消化管を通過した証拠です。 |
| 突然の激しい痛み | 板のように腹部が硬くなる腹膜刺激症状を伴う急激な痛みは、潰瘍が穿孔(穴が開いた)した可能性があります。 |
胃潰瘍を引き起こす3つの主な原因
最大の原因とされるピロリ菌
胃潰瘍の原因の約70〜80%はヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染によるものとされています。ピロリ菌は胃の粘膜に住み着き、長期にわたって炎症を引き起こし、粘膜の防御機能を低下させます。その結果、胃酸によって粘膜が傷つき、潰瘍が形成されます。
日本人のピロリ菌感染率は、50代以上では50%を超えるとも言われています。感染しているからといって必ずしも潰瘍になるわけではありませんが、感染者は非感染者と比べて胃がんのリスクが高くなることがわかっています。
ピロリ菌と消化性潰瘍の関係については日本ヘリコバクター学会の情報もご参照ください。
NSAIDs(鎮痛剤・解熱剤)による薬剤性胃潰瘍
ピロリ菌感染に次いで多い原因が、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の服用です。ロキソプロフェン・アスピリン・イブプロフェンなどの鎮痛剤・解熱剤がこれに該当します。
NSAIDsは胃の粘膜を保護するプロスタグランジンの産生を抑えるため、長期服用や高用量服用によって粘膜が傷つきやすくなります。「市販の痛み止めを毎日飲んでいる」「整形外科で処方された鎮痛剤を長期服用している」という方は注意が必要です。
NSAIDs服用中に胃の症状が現れた場合は、服用を自己判断で中止せず、処方した医師または内科に相談してください。
ストレス・喫煙・飲酒による悪化
ストレスは自律神経を乱し、胃酸の過剰分泌や粘膜の血流低下を招きます。強いストレスが急激にかかった際に起こるストレス性潰瘍は、手術後・重症患者などに見られることがありますが、日常的なストレスの蓄積も潰瘍の悪化因子になります。
喫煙は胃粘膜への血流を低下させ、潰瘍の治癒を遅らせます。飲酒は胃酸の分泌を促進し、粘膜を直接刺激します。いずれも潰瘍の原因そのものというよりは、治癒を妨げ再発リスクを高める因子です。
胃潰瘍の診断とピロリ菌検査
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)による確定診断
胃潰瘍の確定診断には、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が必要です。潰瘍の部位・大きさ・深さを直接観察でき、悪性腫瘍(胃がん)との鑑別のために組織の一部を採取して生検を行うこともあります。
胃がんと胃潰瘍は内視鏡で見た形状が似ている場合があり、胃がんが潰瘍として見える「潰瘍型胃がん」も存在します。「胃潰瘍だと思っていたら胃がんだった」というケースを防ぐためにも、胃カメラによる確認は欠かせません。胃がんについては当院の胃がんページもご参照ください。
当院の胃カメラについて
当院では鼻から挿入する細径の経鼻内視鏡を採用しています。「胃カメラは苦しそう」と受診をためらっている方も、まずは消化器科でご相談ください。
→ 消化器科ページで経鼻内視鏡(胃カメラ)の詳細を見る
保険診療でピロリ菌検査を受ける流れ
ピロリ菌検査を保険診療で受けるには、まず胃カメラで胃炎・潰瘍などの病変を確認することが前提条件です。保険適用の流れは以下の通りです。
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胃カメラ検査の実施
胃内視鏡を用いて、胃の粘膜の状態や潰瘍・胃炎の有無を詳細に確認します。 -
異常所見の確認
胃炎や胃潰瘍などの病変が認められた場合、ピロリ菌検査が保険適用となります。 -
ピロリ菌感染の判定
尿素呼気試験、便中抗原検査、または生検組織検査など、適切な方法で感染を調べます。
自費診療による抗体血液検査
「胃カメラを受ける前に、まず感染しているかどうか確認したい」という場合は、抗体血液検査を自費で行うことができます。ただしこの場合は保険適用外となり、全額自己負担です。
血液検査の結果でピロリ菌感染が疑われた場合は、改めて胃カメラを行い、保険適用の除菌療法へと進む流れになります。どちらの進め方が適切かは症状・年齢・ご希望に応じて医師と相談して決めることができます。
胃潰瘍の治療法と除菌療法の仕組み
プロトンポンプ阻害薬(PPI)による薬物療法
胃潰瘍の治療の基本は、胃酸の分泌を強力に抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)の服用です。胃酸による刺激を減らすことで粘膜の修復を促します。
治療期間の目安は8週間程度で、多くの場合この期間で潰瘍は治癒します。ただし、自覚症状がなくなっても勝手に服用をやめないことが大切です。途中で止めると潰瘍が再燃することがあります。
ピロリ菌の除菌療法
ピロリ菌感染が確認された場合は、除菌療法を行います。
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1次除菌
PPIと2種類の抗菌薬(アモキシシリン、クラリスロマイシン)を7日間服用します。成功率は約70〜80%です。 -
除菌判定
服用終了から一定期間後、ピロリ菌が消えたかどうかを検査で確認します。 -
2次除菌(不成功の場合)
1次除菌で消えなかった場合、抗菌薬を変更して再度7日間服用します。合計の成功率は約97%に達します。
除菌成功後は潰瘍の再発率が大幅に低下します。除菌前は年間再発率が約70%とも言われていますが、除菌成功後は数パーセント以下まで下がることがわかっています。
NSAIDsの見直しと治癒確認
NSAIDsが原因の場合は、可能であれば薬の中止または胃への影響が少ない薬への変更が最優先です。NSAIDsの服用継続が必要な場合は、胃粘膜保護薬や酸分泌抑制薬を同時に処方します。
胃潰瘍の治療後は、潰瘍が完全に治癒しているかどうかを確認するために、治療終了から8〜12週間後に再度胃カメラを行うことが推奨されます。特に潰瘍の形状が悪性腫瘍と紛らわしかった場合は、必ず再検査を受けてください。
胃潰瘍の再発防止と生活習慣の改善
除菌成功後の定期的なフォローアップ
ピロリ菌の除菌に成功すれば再発リスクは大幅に下がりますが、以下の点に注意が必要です。
- NSAIDsを服用する際は胃粘膜保護薬の併用を検討する
- 喫煙や過度の飲酒を控える
- 定期的な胃カメラで胃がんリスクをチェックする
胃炎と胃潰瘍の関係については当院の胃炎ページもあわせてご覧ください。
胃に負担をかけない食事・生活習慣
治療中および再発予防のために、以下の習慣を心がけてください。
| 避けたほうがよいもの | 脂っこい食事、辛い食べ物、炭酸飲料、アルコール、コーヒー、喫煙 |
|---|---|
| おすすめの食べ方 | 腹八分目、ゆっくりよく噛む、規則正しい食事時間、就寝前の食事を避ける |
特に就寝直前の食事は胃酸の夜間分泌を促し、治癒を遅らせる原因になります。夕食は就寝3時間前までに済ませることを意識してください。
胃がんと定期検診の重要性
ピロリ菌感染による慢性胃炎・胃潰瘍を持つ方は、胃がんのリスクが高まることがわかっています。除菌によってリスクは低減しますが、ゼロにはなりません。
日本のガイドラインでは、ピロリ菌感染歴のある方に対して、年に1回程度の胃カメラによる経過観察を推奨しています。「症状がないから大丈夫」と判断せず、定期的な検査を継続することが早期発見・早期治療につながります。
逆流性食道炎など他の疾患との関連については当院のGERDページもご参照ください。
まとめ:胃潰瘍は早期の診断と治療が重要です
- みぞおちの痛みや空腹時の不快感が続く場合は胃潰瘍を疑う
- 原因の大半はピロリ菌またはNSAIDs(鎮痛剤)
- 胃カメラで診断し、ピロリ菌陽性なら除菌療法を行うのが基本
- 除菌成功で再発率は激減するが、年1回程度の胃カメラは継続する
- 吐血、黒い便、急激な激痛は直ちに医療機関を受診すべきサイン
胃の症状は「たいしたことない」と後回しにされがちですが、放置すると出血や穿孔などの重篤な合併症につながることがあります。横浜・関内で気軽に相談できるかかりつけ内科として、関内サンドウ内科医院をご活用ください。
みぞおちの痛みや胃の不調は関内サンドウ内科医院へ
関内サンドウ内科医院では、胃潰瘍の診断・ピロリ菌検査・除菌療法まで幅広く対応しています。「胃カメラはどこで受ければいい?」「ピロリ菌が心配」という方も、まずは当院へお越しください。必要に応じて専門機関へのご紹介も行います。
症状が続く場合は消化器科へご相談ください
- 当院では経鼻内視鏡(胃カメラ)に対応しています
- 日本消化器病学会消化器病専門医の院長が診療を担当します
- ピロリ菌検査・除菌療法、腹部エコーにも対応しています
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