熱帯夜で眠れない…夜間熱中症とSASの関係
2026年7月20〜26日の1週間で、全国の熱中症救急搬送者数は18,591人と過去最多を更新しました(総務省消防庁)。注目すべきは、搬送のピークが夜間から早朝にかけても続いている点です。また、先週発生した熊本地震の被災地では、体育館や車中泊など冷房環境が整わない避難所での夜間熱中症が深刻な問題になっています。「熱中症は昼間に外で起きるもの」——そのイメージが命取りになる夏が来ています。
参照:
熱帯夜の夜間熱中症——なぜ就寝中に気づけないのか
熱帯夜とは?最低気温25℃以上が続く夜の危険
気象用語で「熱帯夜」とは、夜間の最低気温が25℃を下回らない夜のことです。近年は都市部のヒートアイランド現象により、横浜・東京などの大都市圏では熱帯夜が連続する日数が増加傾向にあります。
人が眠っているあいだ、体は皮膚への血流を増やして体の熱を外に逃がそうとします。しかし外気温が高い熱帯夜には、この放熱がうまくいかず、体内に熱がこもりやすくなります。
眠っているあいだに脱水が進む理由
睡眠中は発汗と不感蒸泄(皮膚・呼気からの水分蒸発)を合わせると、一晩に500ml以上の水分が失われることがあります。覚醒時であれば「のどが渇いた」「体が熱い」と気づいて水を飲んだり冷房を調整したりできますが、睡眠中はそれができません。脱水や体温上昇に気づかないまま症状が進み、翌朝起き上がれない・意識がぼんやりするといった状態で発覚するのが夜間熱中症の特徴です。
夜間熱中症を防ぐエアコン設定と快眠環境づくり
エアコンはつけっぱなしが正解——タイマーが逆効果なケース
「電気代がもったいないからタイマーで切る」——これが夜間熱中症の一因になります。深夜に室温が一時的に下がっても、日の出とともに室温が急上昇するタイミングで発症するリスクが高くなります。就寝中のエアコンは「つけっぱなし」が基本です。設定温度の目安は26〜28℃、風向きは体に直接当たらないよう水平か上向きに調整してください。
寝る前の水分補給と温湿度管理
就寝前にコップ1杯(200ml)の水を飲む習慣をつけましょう。夜中に目が覚めたときのために枕元に水を用意しておくと安心です。アルコールには利尿作用があり脱水を促進するため、就寝直前の飲酒は避けてください。寝具は吸湿・放湿性の高い素材(麻・竹素材、冷感素材)を選ぶと体感温度の管理に役立ちます。
熱中症の重症度や一般的な対処法については当院の別記事もご参照ください。
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睡眠不足が血圧・血糖・免疫力に与える影響
熱帯夜に何度も目が覚める、寝ついても熱くて浅い眠りが続く——こうした睡眠不足は翌日の疲労感だけにとどまりません。
交感神経優位が続くと何が起きるか
質の低い睡眠が続くと交感神経が過活動になり、血圧が上昇しやすくなります。同時にストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が増え、血糖値のコントロールが乱れ、インスリン抵抗性が高まることが報告されています。高血圧・糖尿病の治療中の方は、夏の睡眠の質が病状管理に直結します。また、睡眠不足は免疫機能も低下させます。「夏バテ」と呼ばれる体調不良の多くは、熱中症・脱水・睡眠不足が複合的に絡み合った結果です。
いびき・睡眠時無呼吸症候群(SAS)がある方は夜間熱中症リスクが高い
無呼吸発作+脱水が重なると体に何が起きるか
睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、睡眠中に何度も気道が塞がれ、低酸素状態と覚醒を繰り返します。この無呼吸発作のたびに交感神経が刺激され、心拍数・血圧が急上昇し、発汗が増えます。熱帯夜の発汗がそこに加わると、脱水の進行がさらに速まります。また、SASがあると睡眠が断片化されて浅くなるため、体温調節機能が正常に働きにくくなるという問題もあります。
いびきをかく方は口呼吸になりやすく、口腔・気道からの水分蒸発量も増えます。「夜中に何度も目が覚めて水を飲む」という方は、SASが隠れている可能性があります。
CPAP使用中の方も夏の管理に注意
CPAP治療を受けている方は、装置の加湿設定を適切に保つことが大切です。夏は外気の湿度が高く、加湿過多になると結露が生じてマスク内に水が溜まることがある一方、加湿を切りすぎると口腔・鼻腔の乾燥が強まります。就寝前の水分補給と合わせて、装置の設定を定期的にご確認ください。不明な点は受診時にご相談ください。
当院のいびき外来・CPAP外来のご案内
「朝起きても疲れが抜けない」はSASのサインかもしれません
次のような症状に心当たりはありませんか。
- 朝起きても熟睡感がない、疲れが残っている
- 夜中に何度も目が覚める
- 日中に強い眠気がある
- パートナーにいびきや無呼吸を指摘されたことがある
これらはSASの典型的なサインです。当院のいびき外来では、自宅で行える簡易検査から診断・CPAP導入まで一貫して対応しています。
また、2026年6月からCPAP治療の保険適用基準が引き下げられ、以前は「対象外」と言われた方が新たに適用になる可能性があります。詳しくは下記記事をご覧ください。
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まとめ
- 熱帯夜の就寝中は自覚なく脱水・体温上昇が進む——夜間熱中症は「気づいたときには中等症」になりやすい
- エアコンはタイマーを使わずつけっぱなし、就寝前の水分補給が基本対策
- 慢性的な睡眠不足は血圧・血糖・免疫力に悪影響を与え、生活習慣病のリスクを高める
- SASがある方は無呼吸発作+脱水のダブルリスクで夜間熱中症になりやすい
- 「朝の疲れ」「夜中の覚醒」が続く方は、SASの検査を検討してください
夏の睡眠と体調管理についてお気軽にご相談ください。
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